三十九人目 ページ41
Aside
目を覚ますと、カー君が居た。
私を抱きしめてくれた。
とても……
とても温かかった。
でも、カー君の肩越しに知らない人がいた。
自然とカー君の背中に回した腕に力がこもる。
カイト「ごめんね、ゆう。俺の友達だよ、安心して？」
カー君の一言で、張りつめていた緊張がふわりと解けていく。
シエル「俺シエル。Aちゃんなのに、覚えてないの？」
少し赤みがかった髪のメガネの青年が私の顔を覗きこむ。
見た目的に、私より年下か同い年くらいかな。
「Aちゃん？…僕の事…覚え、てるよね…ｗ」
シエルと名乗った人の横から、別の人が顔を出した。
哀しげに笑った彼の顔を覗きこむ。
と、嫌な記憶がよみがえる。
私はカー君の服の袖を握った。
カイト「ん？ぺいんと君、なんかした？」
ぺいんと「カイトさんは知ってますよね、いじめの話」
カイト「あぁ、うん」
ぺいんと「そのいじめてたやつ、僕なんです」
ぺいんとは申し訳なさそうにカー君に言った。
カイト「ま、マジ？」
ぺいんと「いじめてたときは、僕は僕じゃなかった。ニコさん達なら知ってると思うけど、僕も二重人格だったんだよね。区別するためにダークぺいんとって呼んでるけど」
ぺいんとも…二重人格？
ぺいんと「僕、Aちゃんが転校してきて僕に、にこやかに話しかけてくれたから、仲直りできると思ってた…」
A「…カー君は、ぺいんとと友達なの？」
カイト「あ、うん」
A「……なら…知り合い、から」
私が言うと、ぺいんとの顔はパアッと明るくなった。
「てか、帰んね？ｗ」
「そうですねｗいつまでもここに居るのはちょっと…」
シエル「虫もいそうだし……」
シエル君が嫌そうな顔をして辺りを見回した。
カイト「じゃあ、はい」
カー君が私に背中を向ける。
私はちょっとためらいながらカー君の肩に手を置いて、背中に体を預けた。
「俺の家空いてるから俺ん家行こっか!!」
ピシッとしたシャツを着て赤いネクタイをしている人。
なんで上から赤いハッピ着ちゃったんだろう。
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