二十人目 ページ22
マユside
タンタンタンタン…!!
教室の床を軽く蹴るような音が響く。
今はAが何とか数分でも話がしたいというので、蹴り飛ばしてやろうと、わざわざ使われていない教室まで来て待っているのだ。
なのに、なんで呼んだ本人が遅いのよ!!
私のイライラが頂点に達しようとしたとき。
ガラガラッ
A「すみません…遅れてしまって…」
マユ「あんたさ、いじめられてるって分かってんだろ?なんでわざわざ二人きりの空間作ってんだよ。それにさ、私があんたの話を聞く理由もないし」
A「分かってます…全て、私が悪いと…」
なにこいつ。
なに可哀そうぶってんの?
マユ「なに?今更自分を下げても無駄よ。この学校の頂点に居るカナが決めたことだもの。急にしゃしゃり出てきて、学校のプリンス達を独り占めしようだなんて、っざけたマネすっからいけねぇんだよ!!」
A「確かに、誤解を招いたのは私のせいなんです…」
その言葉を聞いて、私がAにジリジリと近づいたその時。
A「あの、これ…」
マユ「なっ……」
Aの手には、一つのスマホ。
その画面には…。
A「これって、いかがわしいことをするためのホテルですよね?それに、マユさんのお隣にいる方…もしかして、人気アイドルのあの方ですか?」
そう言ってAのもう片方の手が画面をズームアップさせる。
A「よく見ると、この方と同じグループの方もいらっしゃるようで…」
マユ「なっ、それ、貸せっ!!」
思いっきり叫び、スマホに手を伸ばす。
Aの手からスマホを奪い取り、ホッと息をつく。
A「でも、他の場所にバックアップがあるので…」
マユ「っ…あんた、私を脅してんの?」
A「そんなっ、私、脅すなんて、そんなつもりじゃ…」
私が黙れば、教室も静かになる。
マユ「………わぁったよ、どうすりゃいいんだ?」
A「お願いです、手を、引いていただけないでしょうか?」
マユ「引かなかったらバラすってか…分かったよ」
Aが深々と頭を下げる。
A「ありがとうございます…」
A「マユさん、知っていますか?」
マユ「んだよ…」
A「急にしゃしゃり出てきて、みんなのアイドルを独り占めしようとするなんて、最低、ですよね?ふざけてますよね…?」
その言葉を聞いた瞬間、私は走り出した。
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