十八人目 ページ20
ユキヒコside
あいつ、タカシ、どうしちまったんだろ。
カナさんに一番ついて回ってたのに。
家に行っても出てくる様子は全くなかった。
？「ゆっきひっこちゃん♪」
突如俺の後ろから聞こえた元気な声に振り向く。
ユキヒコ「は？」
振り向いた瞬間。
ここはメルヘンの国か、と思った。
顔は虐めてたAなのだが、服装が変わりすぎている。
ピンクをベースとしたふんわりとした服を身に纏い、キノコたちの国の王女が持っていそうな傘を腕にかけている。
俗に言うロリータファッションだ。
ユキヒコ「何しに来たんだよ」
A「きょーはね？ゆきひこちゃんに、おねがいがあってきたのー!!」
なんとも言えないギャップ感に圧倒される。
A「ゆきひこちゃん、もうAをいじめるのは、やめてくれないかなぁー？」
ユキヒコ「そんなの、俺の決めることじゃねぇよ」
A「…ゆきひこちゃんってさ、こーいう、ちっちゃいこがすきなんでしょ？」
そう言ってAが出した携帯の画面には、小さい女の子が映っていた。
A「まえにね、ゆきひこちゃんのおねーさんとおはなししたのっ!!そしたらね、いーっぱいおしえてくれたよ!!ゆきひこちゃん、こーいうのばっかりみてるんでしょ？」
ユキヒコ「俺を脅してんのか…？」
A「おどす？そんなことしてないよ!!ただ、Aのおねがいきいてくれるように、ちょっとゆーりになるようにしてるだけ!!」
そこでやっと分かる。
こいつ、だめだ。
ユキヒコ「さっきのこと、誰かに言ったらただじゃねーぞ。」
A「すなおになりなってぇ〜♪」
ユキヒコ「あぁ？っざけんじゃねーぞ」
A「もーう!!しょうがないや、うごかないように、壊しちゃおっと♪」
そういうと、Aは手に持ったコロコロとした傘を上に振りかざした。
背中に嫌な冷たい汗が流れる。
A「？えへへぇ〜♪ダイジョーブ☆しんじゃったりはぜったいしないから☆」
ユキヒコ「な、やめっ…」
傘の先端がキラリと光る。
俺の視界の最期に映ったのはニコニコと笑顔を浮かべるAだった。
A「おやすみ☆ゆきひこちゃん♪」
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