4･はじめまして、よろしく ページ5
･
私は推薦で、入学が決定。
工も無事に普通科を合格した。
二人とも雄英高校に通えることになった。
「A、起きて」
『ん、んぅ』
「起きなさい、A。初日から遅刻とか嫌だろ」
今日は雄英高校の入学式になっている。
原作通りだとＡ組だけ体力テストなのだけど。
「ヒーロー科って大変そうだな」
『うーん、そうなのかも。
ところで、友達出来たら紹介してね』
「なんで？」
『工をよろしくね、って言う』
「じゃあそっちも紹介してもらわないとな」
二人で笑いながらはじめての道を登校する。
はあ、この世界に来て工とクラスを離れる、なんてことなかったのに。今回は離れそうだ。
なんせ受かった科がお互いに違うのだから。
「入試の時も思ったけど、やっぱりでけぇよな、雄英って」
『そりゃそうだ。お金もたっぷりありそうだしね』
話しているうちに分かれ道についてしまったみたいだ。
ここでお別れかぁ。
「んじゃ、僕はこっちだから。Aはそっちでしょ」
『うん、そうなんだけどさ。お互いに頑張ろうね』
「また、帰りにね」
そうやってまた頭を撫でる工。
不安なの、分かっちゃったのかな。
･
工と分かれて自分のクラスとなったＡ組の教室に向かう。
今日から原作に関わっていくことになるだろう。
なるべく原作を崩さずにやっていくか。
教室に入るとまだ人はあまりいなかった。
いたのは轟焦凍、ただ一人だった。
…来るの早すぎた。
轟くんと二人っきりになるとか聞いてない。
前世で推しキャラだった一人に彼は入っていた。
一度は話してみたいとどれだけ思ったことか。
『えっと、おはよう？』
「なんで疑問系なんだ。おはよう」
『返してはくれるんだ、優しいね』
「そうか？」
首を傾げる轟くん。あざとい、かっこいい。
『私は真宝A。はじめまして、よろしくね』
「ああ。俺は轟焦凍、よろしく」
手を出してきた轟くん。
なんだ、握手か？握手をしようとしているのか？
なかなか手を出そうとしない私にしびれを切らしたのか轟くんが私の手を取って握った。
「よろしくの握手、だ」
『あざとい、すき』
「ありがとう、と言うべきなのか？それは」
『スルーしてもいいです』
そうか、と頷く轟くん。
私、彼とは仲良くなれそうな予感がする。
というか仲良くなりたい。
そうこうしているうちに他のクラスメイトがやって来た。
とりあえず、
──はじめまして、よろしく。
このあと起こることを想像して私は笑った。
･
続く
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作者名：yuumi0421 | 作成日時：2018年3月15日 20時
