3･ありがとう ページ4
･
時が過ぎるのも早いものだ。
そんなことを感じる今日この頃。
私と工は中学三年生になっていた。
この前すれ違った緑谷出久と爆豪勝己は私と同い年ということが分かったし。
つまり、原作はもうすぐだということだ。
そんな中、私は職員室に呼び出されていた。
「真宝、お前に雄英から推薦が来ている!!」
『･･･うわぁ』
「どうする、受けるか？」
『もちろんです。返事は受けるに決まってる』
「じゃあ俺の方からそう返事しておこう。我が校も鼻が高い」
推薦が雄英からきている。
そのことは知っていた。
なぜかというと…。
「おい、A。お前に推薦、入れといたから」
『え？』
「じゃ、そういうことだから」
と、我が父の知り合いであるイレイザーヘッドこと、相澤消太さんがそう言ったからである。
実は小学校入学同時に知り合ってました。
前世で、相澤先生は好きなキャラの一人。
会った時は叫びそうになったがなんとか抑えた。
相澤さんはよく家にも遊びに来ていてお父さんとは仲がいいことがわかった。
お父さん凄い。
『ありがとうございました』
職員室を出て、鞄を持って靴箱に向かう。
そこには工の姿が。
「お疲れ様」
『うん、疲れた』
工は雄英高校の普通科を受けるらしい。
私に推薦が来ていて、それを受けるということを言うと笑って頭を撫でてくれた。
『頭、撫でるの好きだね』
「Aの頭が撫でやすいからね」
『なにそれ』
ふわりと笑ってくれる工のその顔はとても落ち着く。
昔から、その顔は変わってはいない。
『工は普通科、受けるんでしょ』
「まあね。ヒーローになりたい、とは思ってないし。雄英卒業したらいい所に就職出来ると思って」
『受かったら、一緒に登下校しようね』
「ん、分かってる。てか、僕は受かる気しかしないよ」
工は頭がとてもよかった。
中学に入って中間と期末のテストがある。
その時に教えてもらってそのありがたさを感じた。
工程の頭脳の持ち主ならば合格は間違いないだろう。
『これまでほんとにありがとうね』
「？どうしたの？」
『ううん、なんかそう思ってね』
いきなりこの世界に来てから15年。
君がいなかったら私は一人で生きていたんだろう。
そう、今一人ではないのは君のおかげ。
だから、ありがとうね。
面と向かって言えない私は心の中で伝えるしかないのだ。
「変なA」
『言わないで』
───こちらこそ、ありがとう。
隣を歩く彼はいつものように笑った。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yuumi0421 | 作成日時：2018年3月15日 20時
