閑話1飯:おにぎりを食べた夫の心情 ページ6
僕は取り敢えず一番前にあったおにぎりを手に取ってみました。…嗚呼、生前の妻が作っていたおにぎりの大きさじゃないか。食べやすいようにと配慮して作られた二口サイズのおにぎり。取り敢えず食べてみよう。
!!
やっぱり妻の味だ。塩加減といいのりの巻き方といい、全てが妻を思い出させる味だ。一体誰がこれを作ったのだろうか?いや、今はそんな事どうでもいいや。おにぎりに集中しよう。そう思ってもこの味のおにぎりを食べると思いが大きくなっていく。
________会いたいなぁ…
____________________________
Aside
食べてくれたみたいです。良かった。でも警戒心がなさすぎるのもどうかと思いますけれど…
「会いたいなぁ…」
!!
私だって貴方に抱きつきたい。触れ合いたい。姿を、見て欲しい…でも出来ない。触れられない。透けてしまうなんて…こんな酷いことって、あっても良いのでしょうか?
…でも、また貴方に会えただけで私は幸せ者です。触れられなくとも、姿が見えなくとも。また会えたから私は嬉しいのです。たった1つ、見つけた繋がりがご飯を作って食べてもらう事。それが今の私にとってどれだけ嬉しいか貴方にわかりますか?きっと、私に貴方の気持ちがわからないのと同じで分からないのでしょうね。姿も見えないから居るかどうかすら分からないのですよね…
でも、私は今この瞬間を大切にします。貴方に私を感じてもらうために。
To Be Continued…
2飯:肉じゃがは味が染みているから温まる→←1飯:久し振りのおにぎりは優しい味
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作者名:宵月 | 作成日時:2020年10月15日 21時