ふたりぼっちの勉強会〜談話室〜 ページ39
朝、始業のチャイムが聞こえる中、私は談話室の扉を開けた。
『おはようございまーす』
「んんん!? 閃穏嵜さん!? なんで!!?」
とても驚いており、本が空を舞っている。
『あ、及川さんあぶ』「いったぁ!!」
……間に合わなかった。
『と言う訳で、勉強教えてください』
「うん、いいよー。及川さんに任せなさい!」
胸に拳を当て、ふふんと笑う及川さん。
驚かせてしまったお詫びにたん瘤を冷やし(治癒魔術は原理的にまだ無理)、授業の細部を確認したい旨を説明した。
快く引き受けてくれた。ありがたい。
「でも、いくつかの教科は教室で受けるって言ってたよね。
どの教科? あと、何時間目?」
『えーっと、ちょっと待ってくださいね……』
そう言って書いた紙を見て、受ける授業を列挙する。
「うん、把握できてるなら問題ないね。じゃあ他の時間はがっつり教え込んであげよう!」
嬉しそうに楽しそうに、上着の裾を揺らした及川さん。
談話室は暖炉があるだけに、常に換気され今日は少し肌寒い。
「閃穏嵜さん、最初何からやる?」
『あ、得意なやつ最初さらっとやりたいです。確認だけ』
「そうだねー……じゃあ、最初に得意不得意書いといて。
得意科目は毎日少し、苦手科目を重点的にやれるようにしよう」
『お願いしまーす』
「うん、お願いされます」
そうして科目を得意順に書いていたところで、ひとつ気がついた。
あれ、本題を忘れているような。
そもそもの本題……あやっべ。
まあ一応及川さんと一緒に過ごしてみる、ってところは合ってるし、いいか……。
ただなぁ。
当然ながらただ勉強会をしたいわけでなく。
いくつかの事柄への興味が振り切れたのだ。
及川さんが教室に行かない理由。
茂庭さんと険悪な理由。
あと、もういっこ。
『そう言えば、及川さん』
なんてことないように、私の得意科目を精査している及川さんに声をかける。
「ん? なに?」
『岩泉さんって、普段教室ですか?』
「そうだよー。岩ちゃんってば、いくら教えても全然覚えらんないんだよ!?
俺が教えるの下手みたいじゃん!
……え、下手なのかな……」
不安にかられ始めた。申し訳ない。
「というか、なんで岩ちゃん?」
『あ、先日一緒にご飯食べたので。ふと思い出しました』
「なんで!? え、岩ちゃん興味なさげなのに、友達になろうとしてたの!?」
友達は一緒にご飯食べるくだりを覚えてる、この人……!
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雫雪(プロフ) - 甘味香涼さん» ?!?!お姉様にも推してくださったとは感激です....!そう言っていただけると書く甲斐があります!今までのは非公開にして新しいものを出しているので読んで頂ければ嬉しいです!!二週目楽しみにしてます!! (2019年4月15日 20時) (レス) id: eb9cd3a250 (このIDを非表示/違反報告)
甘味香涼(プロフ) - 雫雪さん» お久しぶりです! 雫雪さんも書き直し中でしたか……読まねば……! 姉にも雫雪さんの作品推しましたよー。本当好き…。今でも読んでいてくれてありがとうございます! 二週目もどうぞよろしくお願いしますねー! (2019年4月15日 20時) (レス) id: d3237a3b7d (このIDを非表示/違反報告)
雫雪(プロフ) - お久しぶりです...!(たぶん覚えられてない)最近私も魔法パロの方の書き直しを始めたので既視感からコメントさせていただきました!(失礼)いつも楽しく読ませていただいてます。無理せず頑張ってください...! (2019年4月15日 20時) (レス) id: eb9cd3a250 (このIDを非表示/違反報告)
甘味香涼(プロフ) - キリホさん» キリホさんこんにちは!コメントありがとうございますー。印象変わったなぁと思いながら書いてます。如何でしょう。昔も今も愛されていて嬉しいです、ありがとうございます。今後も更新していきますので、よろしくお願いします。二週目特典ありますよ、是非御参加を! (2019年3月4日 17時) (レス) id: d3237a3b7d (このIDを非表示/違反報告)
キリホ(プロフ) - 甘味香涼さん» こんにちは〜いつしかこの小説に出会って、以来度々読みに帰ってきている者です。修正に入られた時から、まだ創り直されていないPartを読み直して修正前の話をうっすら思いながら新しく創られたお話を読むのが好きです。だから両方好き(´∀`*) (2019年3月4日 14時) (レス) id: 5e54777a72 (このIDを非表示/違反報告)
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