【ハイキュー!!】魔術専門学校『悠々学園』 Part.３

誰でもできる旅のすゝめ〜首都〜 ページ23

無事に鎌先さんに許可を貰ったところで、今日のところはと御暇する。

また後日やってこよう、そうしよう。

『さあお次は猿杙さんのところだね』

「えーっと、魔属材料を売ってる場所でしたっけ」

『うん。もしかしたらいいものあるかも』

「その割にはそのお店について、全く説明がないんですが」

『私精霊石しかお願いしてないし』

しれっと言ってみせれば「何故持ってきたか触れるべきでした！」と叫ばれる。

『おいまだ朝だぞ』

「いや言わずにいられますか、まさか売られてるなんて思わないでしょう！」

『里で精霊石の買取やってるじゃない、何言ってるの？』

困惑を顔に浮かべて聞く。

「里のアレはまた特殊なんですよ！ なんでお店で売られちゃうんですか！」

『知らないです』

嘆くカリューを切り捨て魔属材料店、の目の前。

『……はっ、やってない……！』

「そりゃあまだ七時前ですよ。鍛冶の人が居たのが奇跡だったんです」

そうかもしれない。

魔属材料店で、しかもお客あまり来ないとか言っていた店だ。

何をどう考えたら今の時間から開いていると思うのか。

「行くようになった店の開店時間くらい聞いておきましょうよ……」

『基本放課後にしかいかないし、良いかなって』

そしてその思いがいま首を絞めているわけで。無念。

項垂れているとカラコロとベルが鳴った。

鳴った？

「ふぁ〜ぁ、ね、んむ……む？

　あれ、閃穏嵜ちゃん？ おはよ」

お店から、猿杙さんが、出てきた。

『……お』

「お？」

『おはようございますぅ……！』

「え、なんで泣きかけてるの？ 隣のお兄さんにでも虐められた？ だいじょうぶ？」

「いじめてないです」

不名誉な謂れをされカリューが首を振っている。

奇跡が起きたことに感動したことの涙、ということにして欲しい。

『猿杙さんお時間良いですか！』

「朝から元気だねぇ。ふぁ……ぁ、うん、いいよー。何？」

この人優しさの塊なんじゃなかろうか。

『私今日からお休みで、魚河崎へ旅行するんです。

　何か知ってることがあればお聞きしたいなー、っと思って』

「魚河崎？ なに？ 取れる魔属材料の一覧とか地図とか欲しい？」

『あるの？』

「あるよー。一万と四百二十円になりまーす」

『お高い！ 買います！』

「まいどあり〜」

ニコニコと笑う猿杙さん。

ここで売り物の情報価値を疑わない理由は簡単。

今後の儲けを考えたら、情報は正確じゃないと売れないから。ただそれだけのこと。

誰でもできる旅のすゝめ〜首都〜→←誰でもできる旅のすゝめ〜首都〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す