@ばいばい【DoggyStyle(YUMA×KARASU)】 ページ2
KARASU.side
終電前の誰もいない駅のホーム上。
そこにいるのは俺とゆまくん、ただ二人。
Y「今日はありがとうな、カラス」
K「うん」
明日、ゆまくんは結婚式を挙げる。
相手はれっきとした女性。
「俺もそろそろ歳だし、結婚もしなきゃな」
なんてゆまくんは笑いながらしらはんやりょーくんに言ってた。
でもそれが本心じゃないことは、俺もゆまくんも良く分かってた。
俺らは愛し合ってた。
性別なんて関係無かった。
ただひたすらに、愛し合ってた。
でも…この夜で、それは最後だった。
俺は電車を待つゆまくんの後ろ姿に声を掛ける。
K「…なあ、ゆまくん」
Y「ん？」
ゆまくんが振り返る。俺は俯いたまま小さく呟く。
K「キス…してくれへん？」
YUMA.side
K「キス…してくれへん？」
Y「…え？」
カラスの突然の言葉に俺は阿保みたいな声を漏らす。
K「あの人と結ばれる前に…最後に、俺とキスして欲しいねん…」
そこまで言って少し間を空け顔を上げたカラスの表情を見て俺は息を飲む。
カラスは泣いていた。
K「悲しいねん…ゆまくんが他の人と結ばれるのが…」
顔を覆ってしまったカラスを俺は優しく抱き締める。
Y「当たり前やん…」
そしてカラスの顔を自分の方へ向けさせ、優しく口付けをする。
愛しいカラス。
俺は一生彼を愛して行くだろう。
そして、一生苦しめてしまうだろう。
どれだけ愛し合っても、俺たちに神様は微笑まなかった。
俺は明日結婚する。
カラスではない人と。
俺は愛する人を置いて、世間の言う『幸せを掴む』事になる。
一切幸せではないのに、幸せな振りをしなきゃいけない。
これ以上に不幸な事なんてない。
神様…もし本当にいるのなら、
この愛する人との時間が、永遠に続きますように。
KARASU.side
ホームに電車の到着を知らせるベルが鳴る。
ゆまくんは次の電車、
俺はそのまた次の電車に乗らなきゃいけない。
ホームへ電車が入って来、ドアが開く。
ここで、お別れだった。
ゆまくんはそっと俺の身体を離して電車に乗り込む。
Y「じゃあな…カラス、また明日」
ゆまくんは最後に俺の方を振り返った。
K「ばいばい…ゆまくん」
その後の言葉は扉に阻まれて、ゆまくんの元へ届くことはなかった。
K「…俺の、愛しい人」
続く (更新停止中)
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作者名：悠希 | 作成日時：2019年10月5日 21時
