ヨナの兄は灰龍 【暁のヨナ】2

記憶の片鱗 ページ4

僕が海賊になって､暫くの時が経っていった｡


最初は上手く出来るか心配だったけど､その心配は杞憂だった｡


この海賊は巷で聞くような海賊じゃなくて､義賊のようだった｡


そんなこんなで僕は充実した日々を送っていた｡


まぁ､一つ気になる事はある｡


僕はどうも､耳が良すぎるんだ｡


どんなに遠くの声だって､何故か聞こえる｡


いつからかは分からない｡


ジェハに相談しても､それが君の力だとかよく分からない事を言われた｡


記憶は戻らないけど､それなりに楽しくやれている｡


そんなある日､僕は夢を見た｡


赤い髪の女の子が､僕に笑顔で近寄って来るのだ｡


僕はその子に見覚えはないのに､どうしてか､守らなくちゃって気になる｡


君は誰だ…?


そんな事を思っていると､その子が口を開いた｡


“兄上!”


兄上…?


僕が…?


君は…


僕がその子に問いかけようとすると､意識が浮上して､目を開いた｡


僕は今しがた見た夢の事を考える｡


あの子は僕の事を兄上って呼んでた｡


てことは､僕には妹がいた…?


赤い髪の…


僕が何とか思い出そうとすると､頭がズキンと痛んだ｡


レ｢痛っ…｣


頭の痛みに僕はそれ以上､思い出す事を諦めた｡


でも､今のがただの夢だとは思えなかった｡



多分､あの子は僕の妹だ｡


もしかしたら､あの子に会えれば思い出せるかもしれない｡


そう考えた僕はその日から､海賊の仕事のついでに､赤い髪の女の子を探し始めたのだった｡

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