近くて遠い距離

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屋上のフェンスを乗り越えると、





あの頃と同じ景色が広がる。








私「変わってない、、、」






懐かしい景色を目の前に、





なぜか心が温かくなった気がした。







風磨「そう簡単に変わんねぇよ。




俺も、、、」





私「え？」






突然真剣な顔で





そう言った風磨は





少しだけ寂し気だった。







風磨「俺は今までも、これから先も変わんねぇよ。」





その言葉の意味がわからなくて、





ただ風磨を見つめるだけの私。







風磨「“幼馴染”じゃねぇの？俺ら。」






真っ直ぐに私を捉えた視線は、





夕日と重なって





今すぐにでも消えてしまいそうなくらい。






風磨「って、俺が言える立場じゃねぇか。」






届きそうなのに、





手を伸ばせば触れられそうなのに、





それを拒まれるのを恐れたままの私。







私「“幼馴染”だよ！！」







またあの時と同じ






“ごめん”





なんて言葉は聞きたくない。








風磨はきっと後悔してる。







だったら私は、





気にしてない“フリ”をすればいい。








そうすれば





また風磨と“幼馴染”に戻れる？







あの時みたいな





辛そうな表情も





辛そうな声も、、、






もう二度と風磨にそんな思いさせなくて済むかな？








私「風磨は今までも、これから先も、、、




ずっと大切な“幼馴染”だよ。」








恐る恐る伸ばした手で





そっと風磨の手を掴んだ。








風磨「ずっと、、、か。」






小さく笑顔を浮かべ





そっと握り返してくれたその手。








やっと触れられる距離なのに、






それ以上は望めない






遠い距離でもある気がした。

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