似たもの同士。【うらたぬき】

'２９ ページ34

、









私がおどおどばたばたしてると店長は真面目な顔つきになった


緊張した空気だなと思い私は息を呑む








「あのね、A？」


「は、はい！」


「…好き。」


「え、…え？」







" 好き " この文字二つの言葉が店長の口から出てきた意味を察した。



店長は私のことを好きでいてくれている、ということを知った。






世にいう告白というものだし、返事するべき、…だよね









「あ、あの…、私…」


「無理に言葉、出さなくていいから」


「でも、…」


「Aの気持ちを知ったうえで言ってるんだもん。言わせて貰えただけで俺はじゅうぶん」









なんだろう、その言葉を聞いて本日２度目のじーんとした




店長は…、優しすぎるんですよ。


その優しさに答えられるような対応、できなくてごめんなさい








何だか悲しくなって少しだけ涙が零れた。








「泣かないで。俺ね？頑張ったよ。…だから、Aも頑張ってよ。
それで、幸せそうに笑ってるAが見たい。」




店長はそう言いながら私の背中を優しく撫でてくれる。






「なにを、頑張れば？」


「好きなんでしょ？うらたくんが」


「え、いやいやいや。何で知ってるんですか」




誰にもバレていない自信があったためビックリ







「バレバレ。少なからず、俺はAを見てたから、かな。」





ぼんっ。


その言葉にまた顔が熱くなる。




、

'３０→←'２８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す