初恋の終幕 08 ページ24
「……ごめん」
絞り出した声が不恰好に掠れた。力が抜かれた慎太郎の手からさりげなく逃れる。慎太郎が傷つく所なんて見たくない。それでも私は、目を逸らす訳にはいかなかった。
「慎太郎に告白されてから、慎太郎の事考えた。いっぱい考えた」
私が言葉を紡ぐ度に慎太郎の瞳が悲しみに染まっていくのが解った。 何度も逃げ出したくなりながら私は慎太郎を傷付ける言葉を続ける。
「でもごめん、やっぱりそういう風には見れなかった。他に好きな人がいる。……慎太郎とは付き合えない」
まるで時間が止まったみたいで、沈黙がどのくらい続いたのかは解らなくなっていた。
「…………うん。わかった」
でも最後にはやっぱり慎太郎は優しく笑うんだ。
どれだけの「ごめん」を言っても足りない気がする。だけど同時に「ごめん」という言葉が酷くこの場合に不釣り合いなような気がした。
「…………」
「いつになく不細工だな」
何も言えないでいる私を揶揄うように慎太郎が笑った。
「不細工って言わないで」
「冗談だって。……ありがと。俺の事ちゃんと考えてくれて」
そう答える慎太郎がどこか遠くへ行ってしまいそうな気がして私は咄嗟に引き留めるように名前を呼ぶ。
「慎太郎、」
「んな顔すんなって。別に明日から急に他人になる訳でもないのにさ」
慎太郎の言葉にまた、涙が溢れそうになって今度こそ必死で堪えた。
「うん」
「幼馴染なのは変わんないし」
「うん」
「明日もAに話けるし」
「うん」
「また宿題も見せてもうし」
「……それは自分でやんなきゃ駄目だよ」
私がぼそっと答えれば慎太郎が引っ掛かってくれなかったかって悪戯っぽく笑う。私の目から見えていたいつもの慎太郎みたいだった。
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夕色(プロフ) - つばささん» つばささん！ありがとうございますっ。なんとか完結出来ました。でも今だいぶ空気が抜けた風船みたいな状態なので、すぐに次の話を書ける方すごいなーという気持ちでいっぱいです(^_^;)。 (2022年1月24日 19時) (
レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ - ID違うけどつばさです！完結おめでとうございます！キュンとしたり切なかったり…本当に素敵なお話でした(^^)終わりは寂しいですがお疲れ様でした✨ (2022年1月24日 16時) (レス) id: d22c4c2f70 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます！月曜固定更新にしたのは、自分的に楽だったからですが読んでくれてる方にも楽しみにして頂いたみたいで嬉しいです。二人とも良い子なのできっと良い人に巡り会えるはず！自己満足な裏設定もお読み頂きありがとうございました😊。 (2022年1月24日 14時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - はじめてコメントします。このお話を見つけてから、毎週月曜日が楽しみでした。ようやく二人が結ばれてほっとしましたか、失恋した2人も近い未来、大切な誰かと出会えますように。皆優しくて、読んでいて心地いいお話でした。裏設定、面白かったです(*´∀`)♪ (2022年1月24日 10時) (レス) id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ubisiさん» コメありがとうございます！なんとか無事に走り切ることが出来ました。青春ど真ん中の話が書きたかったのでそれを感じて貰えたみたいで良かったです。 (2022年1月24日 10時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕色 | 作成日時：2021年11月22日 8時
