閑話// 好きなひとの好きなひと 02 ページ2
同じクラスに同じ中学出身の子はいなかった。いてもこの事を相談出来たかは解らないけど。兎に角、高校生活が始まって間もないのにこんなことになって、教室では平静を装ってクラスメートと無難な会話をしていたけれど、私はこの時けっこう弱っていたのだ。
今日もお昼休みに先輩と会っている。断り切れなくて連絡先を交換して、教室まで来られるのは困るからと中庭で待ち合わせ。
——今日こそこう言うのは困ると伝えよう。
昨日も同じ事を思ってでもいざ先輩を前にするとやっぱり怖くてできなくて。
「サオリちゃん」
先輩に名前を呼ばれるのが段々と気持ち悪いと感じるようになってしまった。そんな時だった。
「サオリちゃん！」
私の名前を呼ぶ聞き覚えのある声に振り返るとそこには購買部の袋を片手に持ったクラスメートのAちゃんがいた。確かにAちゃんは席が近くて他の子より幾分か話しをする事が多かったけれど、まだ友達と呼べるかも微妙な関係で、なのに、困っている私の様子を察したのか真っ直ぐに私の方へと歩いてきた。
「大丈夫？」
私にだけ聞こえる小さな声でそう尋ねられて泣きそうになった。気付いた時には正直に顔を横に振っていた。それを見たAちゃんは、私を通り越して先輩を見上げて。
「すみません、サオリちゃんに大事な用事があるので今日はもう失礼しますね」
そう先輩に言って私の手を引きながら、私を先輩の前から連れ出してくれた。あの時の気持ちを言葉にするのは難しい。こんな事を言ったらバカにされるかもしれないけど、多分、もしもAちゃんが男の子だったら恋に落ちていたと思う。おとぎ話の王子様みたいだった。そのくらい、私にとっては衝撃的な出来事だった。
閑話// 好きなひとの好きなひと 03→←閑話// 好きなひとの好きなひと 01
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1402人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕色(プロフ) - つばささん» つばささん！ありがとうございますっ。なんとか完結出来ました。でも今だいぶ空気が抜けた風船みたいな状態なので、すぐに次の話を書ける方すごいなーという気持ちでいっぱいです(^_^;)。 (2022年1月24日 19時) (
レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ - ID違うけどつばさです！完結おめでとうございます！キュンとしたり切なかったり…本当に素敵なお話でした(^^)終わりは寂しいですがお疲れ様でした✨ (2022年1月24日 16時) (レス) id: d22c4c2f70 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます！月曜固定更新にしたのは、自分的に楽だったからですが読んでくれてる方にも楽しみにして頂いたみたいで嬉しいです。二人とも良い子なのできっと良い人に巡り会えるはず！自己満足な裏設定もお読み頂きありがとうございました😊。 (2022年1月24日 14時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - はじめてコメントします。このお話を見つけてから、毎週月曜日が楽しみでした。ようやく二人が結ばれてほっとしましたか、失恋した2人も近い未来、大切な誰かと出会えますように。皆優しくて、読んでいて心地いいお話でした。裏設定、面白かったです(*´∀`)♪ (2022年1月24日 10時) (レス) id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ubisiさん» コメありがとうございます！なんとか無事に走り切ることが出来ました。青春ど真ん中の話が書きたかったのでそれを感じて貰えたみたいで良かったです。 (2022年1月24日 10時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夕色 | 作成日時：2021年11月22日 8時
