余裕がなくなる理由を知ってる 02 ページ27
お昼過ぎに目を覚ますと、体調の方はだいぶ回復しているようだった。スマホには幾つかのメッセージが届いていて、その内容を確認する。ユカとサオリちゃんからの心配のメッセージと、そして慎太郎からも。
どきりとして、でも見て見ぬふりをする訳にもいかないので恐る恐る一覧から慎太郎の名前をタップする。
『熱出したんだって?ゲームとかしないでちゃんと休めよ』
まるで昨日の事なんて無かったような、いつもの調子の慎太郎からのメッセージ。それが慎太郎なりの気遣いだと解らない程には私は馬鹿じゃなかった。だからまた少しだけ泣けてきて。
ユカとサオリちゃん宛に返事を送った後に再び慎太郎の画面を開いて、返事を考える。
『慎太郎じゃないんだからちゃんと休んでるよ。だいぶ良くなったから明日には行けそう』
結局、慎太郎がこう接してくれるならば私はそれに甘える事にした。
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翌日、元々風邪では無かったのだろう私の体調はすっかり良くなった。学校を休んだ翌日の登校はいつも少し緊張するし気が重いけれど、いざ行ってしまえばなんてこと無かったりする。
「おはよー」
「おはよう、Aちゃんもう大丈夫?」
「うん。全然元気」
いつもより早めに教室に向かえば良く話すメンバーで先に来ているのはまだサオリちゃんだけだった。荷物を置いて、サオリちゃんと他愛もない話をしていれば段々と教室の中が賑わってくる。
「わっ!!」
「わっ!?!?」
背後から突然聞こえてきた大声に反応して私の身体からも勝手に大きな声がでた。
「そんなけでかい声出せるんならもう大丈夫だな」
振り返ればけたけたと笑う慎太郎がいた。
「そういうの止めてよ、めっちゃびっくりしたじゃん!慎太郎の所為で熱がぶり返す所だったよ!?」
「大丈夫、大丈夫。Aそんなやわじゃないだろ」
「ちょっと!」
小学生みたいな慎太郎の悪戯にまんまと引っかかったのが恥ずかしい。こっちは慎太郎と会ってぎこちなくならないかな、なんて心配していたのにそんなのが一気に吹っ飛んだ。一部始終をみていたサオリちゃんがくすくすと笑っている。
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夕色(プロフ) - つばささん» つばささん!ありがとうございますっ。なんとか完結出来ました。でも今だいぶ空気が抜けた風船みたいな状態なので、すぐに次の話を書ける方すごいなーという気持ちでいっぱいです(^_^;)。 (2022年1月24日 19時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ - ID違うけどつばさです!完結おめでとうございます!キュンとしたり切なかったり…本当に素敵なお話でした(^^)終わりは寂しいですがお疲れ様でした✨ (2022年1月24日 16時) (レス) id: d22c4c2f70 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます!月曜固定更新にしたのは、自分的に楽だったからですが読んでくれてる方にも楽しみにして頂いたみたいで嬉しいです。二人とも良い子なのできっと良い人に巡り会えるはず!自己満足な裏設定もお読み頂きありがとうございました😊。 (2022年1月24日 14時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - はじめてコメントします。このお話を見つけてから、毎週月曜日が楽しみでした。ようやく二人が結ばれてほっとしましたか、失恋した2人も近い未来、大切な誰かと出会えますように。皆優しくて、読んでいて心地いいお話でした。裏設定、面白かったです(*´∀`)♪ (2022年1月24日 10時) (レス) id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ubisiさん» コメありがとうございます!なんとか無事に走り切ることが出来ました。青春ど真ん中の話が書きたかったのでそれを感じて貰えたみたいで良かったです。 (2022年1月24日 10時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕色 | 作成日時:2021年11月22日 8時