本音の伝え方 02 ページ15
「…………やっと言ってくれたね、Aちゃん」
私の耳に届いたサオリちゃんの声はどこまでも穏やかで。
「サオリちゃん?」
全く驚いた様子のないサオリちゃんに返って私が動揺して顔を上げるとそこには優しい笑みを浮かべるサオリちゃんがいた。
「なんとなく、そうじゃないかなって思ってた」
「うそ。いつから」
「この前の土曜日六人で遊んだ時から。Aちゃんずっと樹君の事見てたから」
「っ……!」
完全に無意識だったので、思わず私は言葉を失った。
「ごめん」
「いいよ。私舞い上がってたから、Aちゃんが言いづらかったのわかるし」
「サオリちゃんが、最初田中君のこと好きって言った時にはまだ自分の気持ちに気付いてなくて」
そんなのは言い訳でしかないのだけれど、決して悪気があった訳じゃないのだと伝えたくって。
「わかってるよ。私の事考えてくれたからなかなか言い出せなかったんでしょ?でも、私、それでAちゃんの事嫌いになったりしないよ?」
苦笑交じりのサオリちゃんの言葉になんだか泣きそうになった。
「うん、知ってる。サオリちゃんがそんな子じゃないって知ってたはずなのにね」
「そーだよっ。失礼しちゃうな、もう」
わざとらしく怒ったような顔をするのが可愛いくて、笑わせようとするその思いやりが嬉しい。
「ごめんごめん」
って私が笑えば、サオリちゃんもほっとしたような顔をした。
「私はもう樹君のこと、区切りついたから。Aちゃん遠慮とかしないでいいよ」
「えっ……?」
「告白して、ものの見事にフラれちゃった」
「うそ、」
「嘘じゃないよ。でもすっきりしたからいいやって思ってる」
目の前で晴れ晴れとした様子でサオリちゃんは笑う。
「全然気付かなかった」
昨日二人は普通に話してた気がする。いつもの違うようには感じなかった。
「流石のAちゃんも気づかないよ。フラれたの、昨日だもん」
「……そうだったんだ」
私は何か言わなきゃって思って、でも上手い言葉が見つからない。私が好きな人が田中君じゃなかったら、こういう時「勿体ないことした」とか「その内もっと良い人が」とか言えるのかかもしれないけど、そんな事は言えなかった。
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夕色(プロフ) - つばささん» つばささん!ありがとうございますっ。なんとか完結出来ました。でも今だいぶ空気が抜けた風船みたいな状態なので、すぐに次の話を書ける方すごいなーという気持ちでいっぱいです(^_^;)。 (2022年1月24日 19時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ - ID違うけどつばさです!完結おめでとうございます!キュンとしたり切なかったり…本当に素敵なお話でした(^^)終わりは寂しいですがお疲れ様でした✨ (2022年1月24日 16時) (レス) id: d22c4c2f70 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます!月曜固定更新にしたのは、自分的に楽だったからですが読んでくれてる方にも楽しみにして頂いたみたいで嬉しいです。二人とも良い子なのできっと良い人に巡り会えるはず!自己満足な裏設定もお読み頂きありがとうございました😊。 (2022年1月24日 14時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - はじめてコメントします。このお話を見つけてから、毎週月曜日が楽しみでした。ようやく二人が結ばれてほっとしましたか、失恋した2人も近い未来、大切な誰かと出会えますように。皆優しくて、読んでいて心地いいお話でした。裏設定、面白かったです(*´∀`)♪ (2022年1月24日 10時) (レス) id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ubisiさん» コメありがとうございます!なんとか無事に走り切ることが出来ました。青春ど真ん中の話が書きたかったのでそれを感じて貰えたみたいで良かったです。 (2022年1月24日 10時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕色 | 作成日時:2021年11月22日 8時