第三十九話 ページ41
嫌な予感がする。
「今回のことで、羊の問題点がどこにあるかってことがよくわかった。それで皆で相談して、解決する方法を決めた。聞いてくれるか?」
お兄ちゃんが、白瀬くんの方に歩き出した。
『お兄ちゃん。』
私も慌てて追いかける。そしたら、お兄ちゃんの脇腹あたり?に何かがぶつかった音がした。
「これが解決法だよ」
『えっ』
お兄ちゃんが、刺された・・・?
「・・・お前・・・」
「心底油断している時に、視界の外から攻撃する。そうすりゃ重力を使う暇もない。そうだろ、中也?」
『お兄ちゃんっ!?』
傷を見た瞬間、頭が真っ白になる。その時、ハッと思いついた。
『・・・っ、異能力「壊れた夢」』
そして、お兄ちゃんの傷口付近の気圧と大気を操る。そして、わざと凍らせる。
『お兄ちゃん、一応動かないで、危ないし、多分、何かの薬品が塗られてるから。』
「なんでそれを・・・?」
『だって、お兄ちゃん殺すならそれくらいして当たり前。』
「「・・・・・・」」
え、なに?2人揃ってその呆然さ。ひどくない?っていうか、お兄ちゃんに至っては私が助けたんだけど。そんなことを考えているとGSS?の人達が出てきた。
『・・・ねぇ、白瀬くん。君、なんで、裏切ろうとするの・・・?・・・私たちのこと。』
そしたら、お兄ちゃんが、驚いた表情をして、
「・・・は?・・・羊が、俺を・・・裏切る・・・?」
と、云った。私は、少し俯く。
「!・・・・・・ああ。そうだよ。仲間達の命を、たった一人の誰かの気分に左右される訳にはいかないんだよ。その点、GSSは気分で態度を変えたりしない。」
嗚呼、みんな、僕たちのこと駒扱い。
「・・・そう、かよ・・・。」
『お兄ちゃん・・・』
「お前には感謝してるよ、中也、優羽にも。恩は十分返してもらった。だから・・・・・・もう休め。死んで羊に最後の貢献をしたあとで。」
そして、白瀬くんは、冷たい瞳で、
と云った。声色も冷たかった。
「!?」
お兄ちゃんは、呆然としていた。僕はため息ついて、顔を上げ、
『お兄ちゃん!』
と、叫ぶ。そしたら、お兄ちゃんは、はっとしたように頷いて、重力を使って崖を崩した。僕もそっちに飛び移る。
「崖下に逃げた!この程度の高さじゃ死なない!急いで追え!」
崖下到着。
『・・・お兄ちゃん・・・。』
「何が、リーダー、だ・・・。俺が一番、組織を駄目に、してたんじゃねえか・・・・・・っ」
辛そうで、壊れそうで、こんな弱気なお兄ちゃんは、見たくない。
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作者名:十六夜紅葉×山吹 x他2人 | 作者ホームページ:http://yuuha0421
作成日時:2023年6月15日 20時