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第三十五話 ページ37

『ちょ、ユウさん、下がって!』

とりあえず、ユウさんを引っ張って下げる。いや、私の力やばくね?そして、ユウさんを保護して、

『お兄ちゃんはやく!!』

「地面と仲良くしてなジイサン!」

そしたら、お兄ちゃんが、先代さん?を殴りました。お兄ちゃんすごいな。地面にめり込んでるよ。先代さん。痛そう。

「人ならざるこの身すら・・・・・・沈めるか。恨めしい。だが見事じゃ、小僧」

「手先は封じたぜ。今だ、やれ太宰!」

おー、がんばれ!そして、治くんがやろうとした瞬間。世界が落下した。

「知っている筈・・・私は亜空間を操る異能力者だと。空間を操るとはすなわち、それが内包する万物を操るという事。・・・太宰君、君がいかに私の天敵であろうと、立つ大地、移動する距離そのものを改竄されては、拳など届かぬぞ」

ふぇぇ、すご。

「おいおい・・・マジかよ。反則だろ、こんな規模の異能・・・。」

「中也君、憶えているか?かつてこの空間に君は来たことがある。8年前のあの日・・・私は奪取任務のため、相棒の異能力者と共にこの地へ潜入していた。奪取目的であるエネルギィ生命体が、軍の秘密施設に封印されている事実を掴んだ・・・。だが施設で君を奪取し、脱出しようとした時、何かが起きた。良くない何か。それが何であったか未だに思い出せぬ・・・覚えているのは、その何かのせいで敵に発見されて追い詰められ、荒覇吐を異能として取り込まざるを得なくなった事だけだ」

へ、へぇ。っていうか、本当に僕バレてないんだ?

「蘭堂さん。荒覇吐とは・・・中也とは一体何者なんだ?」

と、治君は、慎重に問う。

「私にも判らぬ。中也君を連れ帰り、それを解明することも私の任務のひとつだったが・・・。軍の秘密施設は、爆発で記録ごと消し飛んだ。だが中也君を異能力化して取り込めば、彼の中の記憶を再構築させられる。そうすればすべてが判るだろう。あの時、私の親友に何があったのかも」

『親友?』

「そう。共に潜入調査を行った相棒の諜報員は、私の親友でもあった。名はポール・ヴェルレエヌ。彼はどこへ消えた?爆発で死んだのか、あるいはどこかで生きているのか?それだけが思い出せぬ。だから君の記憶が必要なのだ、中也君。親友の現在を掴むのだ。失われた8年を埋めるために。彼を救うために」

「成程ね・・・。すべてはその相棒のためか」

『マフィアへの裏切りも、先代復活の噂も、この戦いも・・・。ちょっと信じがたい話だけど』

すごいな。本当に。

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作者名:十六夜紅葉×山吹 x他2人 | 作者ホームページ:http://yuuha0421  
作成日時:2023年6月15日 20時

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