第三十一話 ページ33
「隠していたのではない。つい最近、思い出したのである。私の・・・真の名と共に」
と、蘭堂さんは云う。・・・・・・あー、あれだよ?僕も、お兄ちゃんと似たような感じだよ。って云っても、封印云々じゃないけど。私も、あくまで異能を制御するための人格にすぎない。
「私の名は蘭堂ではない。蘭堂という名は、持ち物の綴りを見た、仲間が付けたものである。・・・そして真の名を思い出した時、私は決意をした。今回の謀略を。すべては中也君・・・君を探し出し、そして殺すために」
は?お兄ちゃんを殺す?そう思っていたら、亜空間の中心が爆発した。吹っ飛んだのはお兄ちゃんだけ。えぇ、だって僕、蘭堂さんの前では異能力出してないし?
「な・・・っ!どうして重力で防禦しなかった?」
「出来なかったのだ。空間そのものを衝撃波として叩きつける私の攻撃は、どのような物理法則の影響も受けない」
へぇ。空間そのもの・・・か。ある意味僕のとは相性良いかもね。
「この亜空間内部は私の王国である。故にこの内部でのみ...私の異能は存在が可能だ。このように」
現れたのは黒い衣を纏い、空中に浮かんだ先代だった。意味わかんないんだけど。
「やァ・・・。これはこれは。久しぶりだね。例の腰痛はどう?顔色もいいね。死んで良かったんじゃない?首領、いや・・・・・・・・・先代首領」
治君の笑顔がこわばるのを見た。ユウさんは、警戒はしてるようだ。私も、臨時の戦闘体制に入りながら、
『先代首領は死んだはずだよね。何したの、蘭堂さん』
「彼は・・・私の異能である。私の異能は、亜空間内に死体を取り込み、異能力化する能力」
「常識外れすぎる・・・。蘭堂さん、貴方は何者なんだ?」
と、治君が慎重に問う。
「かつての私は、敵国を出し抜き情報を持ち帰るために選抜された欧州の異能諜報員であった。そして8年前、任務のためにこの国に潜入した。目的は、この国で研究されているという、未知の高エネルギィ生命体を調査、奪取すること」
『それが、荒覇吐ってことなのね・・・・・・』
嘘でしょ。・・・・・・っていうか、私バレてなくてよかったぁぁぁ。
「だとしても・・・。・・・欧州の異能諜報員だって?つまりそれは、世界でも数十人しかいない最高位の異能を持つ、”超越者”級の能力者ってことだ。蘭堂さん、貴方はまさか」
「改めて自己紹介しよう。私の名はアルチュール・ランボオ。能力の名は”イリュミナシオン”・・・私の目的は中也君、君を殺し、異能として取り込むことだ」
そんな・・・・・・。
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作者名:十六夜紅葉×山吹 x他2人 | 作者ホームページ:http://yuuha0421
作成日時:2023年6月15日 20時