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第二話 ページ4

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ーーー擂鉢街。

文字通り擂り鉢状に窪んだ地形にできた街だ。
かつてここで巨大な爆発事故があった。直径二粁の巨大な爆発は前住人も土地権利関係もまとめて吹き飛ばした。後には擂り鉢状の荒野だけが残った。

その荒野にいつからか人々が集まり勝手に街を造りはじめた。表社会から弾き出された、あるいは最初から存在しないことにされた日陰の民達だ。

法的な緊張地帯でたる租界に接していること、不法でも一度住めば居住権が発生すること。

その二つを背景に彼等は勝手に小屋を建て、階を造り、電線を引いていった。やがて爆心地は栄光や絢爛に裏切られた人々が暮らす街になった。灰色の人々が住む灰色の街。

無論、官憲の目の届かぬ土地。マフィアのような非合法組織にとっても何かと縁のある土地だ。

その擂鉢街の下り坂を歩く3人の人物。

「ユウ、知ってた?塗装用の鍍金液を飲んでの○殺が外国では大変人気らしいよ」

一人は黒い蓬髪に額には白い包帯を巻き大きすぎる黒背広を羽織った小柄な少年。太宰治、齢は15歳。

もう一人は太宰治の一歩後ろを歩いているまるで太宰治と鏡合わせのような外見を持つ少女。

名を太宰佑子。同じく15歳。
ただしこちらは包帯は巻いておらず黒スーツに身を包んでいる。しかしその表情からは感情は読み取れない。限りなく無に近い。否無そのものだった。

「但し人気の理由は単に工業塗装業者にとって手に入りやすい薬品であるからで決してある楽な○殺法ではない。飲んだものは生きながら内臓を溶かされる激痛に何時間も悶えながら死ぬだろう。……うえっ試さなくてよかった!」

「……興味ないから言わなくていいよ」

「ユウ冷たい!!寂しい!!」

同じ顔なのに正反対な表情を見せる二人は一卵性の双子であり兄妹であることはマフィアの構成員であれば誰でも知っていることだ。

しかも兄である治は現在の首領である森鴎外と共に先代首領を看取った唯一の人物。そんな人間に森は秘密の調査を命じた。何かあるに決まっている。

太宰治を適当に扱うべきではない。

このあたりの土地に詳しいという理由で治に指名され道案内兼護衛の役を任されたマフィアの構成員である広津の勘が告げていた。長年組織の中で生き残ってきた者のみが持つ勘だ。

しかし、と広津は少女、否妹である太宰佑子を見た。
何故彼女も一緒なのだろうか。広津は疑問視する。

彼の妹で容姿が瓜二つ。
それ以外の情報は全くと言っていいほどなかった。

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作者名:十六夜紅葉×山吹 x他2人 | 作者ホームページ:http://yuuha0421  
作成日時:2023年6月15日 20時

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