第四話 ページ6
計画していたビルの高層階から、下界の様子を垣間見る。
龍先輩と一葉ちゃんのターゲットに眼を向け、観察する。
此度、策に嵌ってしまった二人の兄妹と虎くん、その三人を観察し悦に浸る。
あゝ、一葉ちゃんと龍先輩の計画に嵌められた哀れな子猫……
もしもこれが任務であれば救済してあげられるのに…と愛しいと云う感情にに苛まれながら、その横に眼を向ける。
そこにいた人物に対して、酷く吃驚した。
それは何年も前に突然行方を眩ませたおれの親友であり、相棒の翼ちゃんが居たからだ。
クラリと脳を歪ませる幻影か?
将又、おれが生み出した幻か?
そんな嗤い事にもならぬ様な戯言を抜かす思考を止め、一葉ちゃん含めたら五人の行方を見届けた。
遠い所為か声が掠れ掠れにしか聴こえないが、一葉ちゃんの銃の腕は全く変わっていない。
だけど、兄貴の方も中々巧く己の異能を制御している。
怒りに任せると云うのは些か拙いが。
そう魅入る様に食い付く様に五人を見ていると後ろから背筋を凍らす様な冷たい声が聴こえてきた。
「そこで何をしている。」
声の正体は龍先輩で、下にいる一葉ちゃんの応援に来た事は一目瞭然であった。
『ねぇ、龍先輩。
おれにも、参加させてくださいよ〜』
そんな声にも気に留めずに普段通りの胡散臭い笑顔で詰め寄る。
暫しの沈黙の後、龍先輩の答えを聴き、それに対して矢張り、気の抜けた様な返事をし、龍先輩と共に一葉ちゃんの助太刀に参った。
羅生門が後ろから兄の方を攻撃し、一葉ちゃんを助ける。
虎くんは眼を開き、驚いている様子が見てとれる。
「死を惧れよ、殺しを惧れよ、死を望む者等しく死に、望まるるが故に____」
そこまで云うと龍先輩はごほっと咳をしたが、続けて「お初お目にかかる、
『ど〜も、今日も社会貢献をしに来ました〜
おれは浅霧で〜す』
そう手を左右に揺らしながら、龍先輩の後ろから出て、口元を歪め嗤うおれに翼ちゃんは懐かしそうな眼でこちらを見ていた。
遠くて見えなかったが、降り立ち見てみると妹ちゃんの方は酷い怪我だった。
何発もの銃弾を背中で受けていたが、まだ息はある。
それを感じると無性に直ぐに救済してあげなきゃ…と云う気持ちが高まってしまった。
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