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第二話 ページ4

足元に流るる紅き滴が己の白き衣を染める。

「な…で……信…て…」

そう血反吐を撒き散らし、喚く哀れな者達の一人。
おれの異能から、己の死に淵でのみ覚醒し、真実を知る可哀想な人間。

『ほぉら、さっさと救済された方が善いよ?
それとも、罰の方が善かった?』

地べたに這い蹲りこちらに手を伸ばす人間に対して、己が自ら刃物を差し込んだ腹部を蹴り、無邪気に嘲笑う。

何時しか、哀れな者は救済され、天へと昇って行った。
幾つ物肉塊が転がる薄暗い倉庫から、外に出てきた。
だが、血に塗れ、肉塊が転がった現場とは裏腹に出てきたおれの身体には一滴たりとも血液は着いていない。

外に出てきたからにはと、夜空を見上げ新鮮で優しい空気を身体に取り込む。

あゝ、今日も善い社会貢献を果たしてしまった。
そう思考しながら、懐から携帯電話を取り出し上司たる者に連絡を入れる。

『龍先輩、ターゲットはおれが着いた頃に皆、その業者のボスと思わしき人物に殺されておりました〜
ですが、散策の結果ターゲットの懐より有益な情報を手に入れました〜』

「そうか。だが、油断はするな。
直様帰還し、報告書を書け。」

そう言葉を放つ、上司に気の抜けた返事を返し、話し合いを切断した。

人を自らの手を使っては殺さない。
あくまでも、相手の自死に見せかけて殺害する、それがおれの生きる術である。

徒歩を駆使して本部へと帰る。
帰り報告書を書いていると、何やら一葉ちゃんと龍先輩が話している様だった。

聴き耳を立てるなんて端のない事を普段ではしないが、今回ばかりは好奇心が勝り、やってしまった。
話の概要を聴きながら、僅かに口角が上がるのに気がついた。

賞金七十億の人虎……なんて夢の様だろう。
それ程の金銭があれば……そう考えるが疾く、決行日には着いて行ってその顔面を拝んでやろうと意気込んだ。

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作者名:朝宮藍良×木暮 x他1人 | 作者ホームページ:ありませんっ!  
作成日時:2023年9月22日 17時

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