第二十三話 ページ25
あれ捕まった?いや、そう簡単にれんは捕まらないか。なら、潤一郎の幻影かな?よくやるよねぇ。
『・・・もう。あの莫迦・・・』
そんなことを呟いて、ため息をついた。そして、どうにかしよう。そう思いくるくると頭を回す。・・・こんなふうに考えたの、本当に久しぶりだった。
あの時以来かもしれない。
そこまで頭が考えついた時だった。
“翼”
ズキンッ
最悪だ。
『・・・おねがい。いまは・・・でてこないで・・・』
“翼、こっちに来て”
ズキンッズキンッ
モヤがこくなり、頭痛もひどくなる。そして、息がし辛くなる。所謂、フラッシュバックというやつだ。
“翼”
『やめて、よばないで・・・おもいださせないで。』
嗚呼、頭痛い。・・・なんで本当にフラッシュバックなんて。否、きっと、結構絶体絶命だと自分の中で思っているからだ。“あの時”みたいになりたくなくて、“あの時”のことを思い出しているんだ。
そこまで頭が追いついた時には
もう限界だった。だから、思わずうずくまる。
「翼さん?」
敦くんがオレの異変に気づいてこちらに来た。
『・・・・・・』
オレはただ、
頭痛と
悪夢と
幻影と
幻聴。
夢と現の境目が判らなくなっていた。
「翼さん、ちょっと、如何したんですか?」
『・・・・・・』
「翼さん!」
『・・・・・・っ』
顔を上げる。そしたら、敦くんと目が合い、敦くんがオレの表情を見た瞬間、目を見開いて硬直した。
〜敦side〜
ふっと、翼さんの方を見ると、翼さんはうずくまっていた。何度か呼びかけたが、反応がない。
「翼さん?」
何度目だろう。4度目くらいで、ピクッと肩を揺らした。反応があった。
「翼さん、ちょっと、如何したんですか?」
「・・・・・・」
訊ねてもなんの返事も返ってこなかった。
「翼さん!」
「・・・・・・っ」
翼さんが顔を上げ、僕と目が合う。そして、僕は彼の瞳を見て血の気が引いた。
なぜなら、翼さんの瞳に
“哀しみ”と“憎悪”と“後悔”
その3つが宿っていて混ざっていたから。そして、その中に特に目立っていたのは混ざってできた“狂気”だったから。僕は思わず固まってしまった。
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←第二十二話
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ