第十六話 ページ18
一葉ちゃんが医務室を離れ、首領の元へと行った。
おれはと云うと、龍先輩の安否を不安に思い出られなかった。
あの人がいなくなれば、おれはもう一度、一人きりになる。
おれは相棒を光へ向かうという意思を尊重出来ない
きっとつーちゃんなら、光に行く事も出来る。
だのに…だ。
陰や陽ではない、此れはおれのダメな部分が浮き彫りに出た結果だ。
おれが織田先輩の様に人を殺さないマフィアであれば、翼の様に光に行けた？
いや、根本的な性格を治さない限りは亦闇に戻ってしまうであろう。
大切な人を自分のせいで三度も失ってしまう。
それが怖くて仕方がない、そんな自己中心的な考えが、今の惨劇を生み出している。
人に認められないと人は生きては行けない。
どこかで縋るものがなければ人は壊れてしまう。
そんなの昔を見てきたのだから、理解していた筈。
いや…理解している様に思っていただけ？
そんな悶々とした想いを抱えていると、いつの間にか医務室の電気が消え、帰る時間を知らせていた。
そして、翌日となると、電話が鳴り響いた。
｛龍先輩が襲撃された。｝そんな連絡が来て、急いで本部へと行くと先に来ていた一葉ちゃんが我武者羅に武装集団に立ち向かっていた。
銃の向きもバラバラ。でも、頑張る彼女を見て勇気が出た。
黒蜥蜴も参戦したのを見て、おれも手を汚しながらも闘い勝利を収めた。
そして、前へ向き進む一葉ちゃんを見て、おれも自身に掛けた異能力を解きつーちゃんへ連絡をした。
『ねぇ、翼、今から⬛︎⬛︎に来て。
昔の非番時の格好の俺がいるから、少し話したいんだ。』
久々に異能力がない素の言葉で連絡をすることが出来た。
俺は浅霧蓮として、翼の親友兼相棒として、翼が光へ向かう事を蹴り飛ばしてでも進めてやる。
おれが陰を落としただから、俺じゃないと…光に進ませてあげられない。
俺が始めてしまったんだ。
だから、その結果を俺が拭い取ってやる……
こんな矛盾だらけで意見が直ぐ変わってしまう。
そんな…おれを誰も許してくれないでも……そんな俺で良いって言ってくれたんだ…
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