信じられないというより信じたくない ページ6
そして、千鶴さんは逃げようとしていた。俺もついていくことに。そしたら見事に千鶴さんは捕まってました。俺はかわした。捕まりたくなかったから。
その後、千鶴さんと俺は話すことになったものの、俺は別に特に話すことなんかねぇんだけど。そう思いつつ、とりあえず千鶴さんの話を聞いていた。そして、
「次はお前だ」
と、云われる。･･･俺･･･俺･･･か。
『･･･俺は･･･』
死にかけただとかの説明するのは嫌になった。･･･如何しようか、此処で生きた記憶が欲しいなぁ、なんて思いながらもそっとため息をこぼす。もういっそ、記憶喪失ということにでもしようか。そう思い始めた。だが、バレる気がして、話すことにした。
『･･･気が付いたら、あそこに居た。』
「はぁ？」
そりゃ、んな反応になるよな。俺もそうだ。一応ちゃんと策は考えてある。
『･･･この服装、証拠にならねぇか？』
「異国の服･･･」
『異国･･･か。･･･これでも俺は日本育ちだ』
生まれは知らねぇけど。
「･･･じゃ、じゃあ、並行世界から来たってのか？」
『さて･･･ね。･･･俺には何とも。』
それに、多分そうじゃない。きっと、過去に来たんだろうな。そう思いつつ、
『あくまでこれは、俺の憶測だが、俺は･･･未来から来た･･･んだと思う』
「はぁ？なんでそうなるんだよ」
『だって、新選組っつーのは、俺等のとこでも有名だが、過去の人･･･として有名なんだよ』
･･･そう、新選組、というのは聞き覚えがあった。･･･姐さんに歴史を教わった時に聞いたから。
『だから、此処は俺が居たところから随分前だって推測したってわけ。』
「･･･」
信じられない。と、相手の表情が云ってる。･･･俺も、まだ信じられてない。というか、信じたくない。過去に来た、なんて。
『俺も、信じられねぇよ』
「は？」
『･･･普通に考えてみろよ。気が付いたらあんな路地裏に居たんだぜ？信じられねぇっての。まぁ、俺からしたら信じなくない、と云う方が合ってるけどな』
そう返して、思わず笑みがこぼれた。
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作者名：朝宮藍良 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年11月23日 14時
