俺のORIGIN ページ29
『はーい止め止め。玉砂利にスープレックスは駄目だって』
俺は東堂葵。俺には基本的に高田ちゃん以外に尊敬する人間は居ない。だがヤツは違う。高城慎吾は年下の俺より階級が低いがそれを妬まず、年齢を笠に着ない好漢だ。そして…ヤツは、高田ちゃんの伝道師でもある。
特級呪術師九十九は俺の好みではあったが、何かが違うと感じていた。その違和感を解消してくれたのが高城だった。
初めて会ったときの印象は優男そのもの。女の好みなんざ合わないと思っていた。あぁ、あの時の愚かな自分を殴り飛ばしたい。
高城はデカい女が好みだと言い放ち、俺に高田ちゃんを紹介した。電流が走ったさ。こんな女がこの世に存在したのかと。そして任務帰りにチケットを一枚譲り受け、個握に向かった。
あの頃の俺は"個握"という言葉すら知らなかった。高城には感謝してもしきれない。
例え気に入らない奴を半殺しにするのを止められたとしても、な。
叩きつけられる。最後の抵抗に足を振ったが流石に間に合わないだろう。襲い来る衝撃を耐えようとした矢先、
「うおっ」
いきなり動作が止まり、がくんと頭が揺れる。そのまま胴を拘束していた腕は解かれて地面に降り立った。東堂を見ると、その体はワイヤーで固定されている。
「マイッ、ソウル、フレンド！！」
ワイヤーを千切って体を起こした東堂の背後から追加のワイヤーが伸びる。
「手厳しいな、何かあったのか？」
『何かもクソも無ぇ』
屋根の上から聞こえた声。聞き覚えは無い。京都の学生だろうか？東堂を容易く拘束できる生徒が居たか？
『任務入って、個握に行けねーんだ！』
「何だと！高田ちゃんの個握に！！」
『そうだよ！だから東堂、オマエに託す』
ヒラヒラと落とされた紙切れ。東堂が凄まじいスピード(さっきより速かった)でその紙を掴んだ。
「これはッ」
『そうさ、チケットだ。俺の分まで頼むぞ』
「やってやるさソウルフレンド、俺に任せておけ。行くぞ真依！出陣だ！！」
「はぁ？！何しに来たのよ、ここに！」
ほんとそれ。混乱する伏黒の頭が捻り出せたのはそれだけで、最早この会話について行けないでいる。
「高田ちゃんの、個握だ」
「…勝手な人」
本当に行くのか。さっき迄のは何だったんだ。ワイヤー術師も居なくなっているし、悪い夢を見たと思っておくのが良いかもしれないな。
『個握行きたかったパーンチ！』
「何だアレ」
追記
私は小さな人が好きです。
くろ
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作者名：くろ | 作成日時：2020年11月5日 22時
