トリップしたら互いに勘違いを起こしました。【我妻善逸】 (ページ1)

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大雑把な神様のせいで、知らない世界線に来ちゃいました。

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『....仕事、辛いなぁ....』

夜道で1人、ぽつりと呟く。
聞く人は居ない。

『貯金貯まってるし、仕事辞めて新しいことしようかなぁ....家族も、もう居ないし。』

俄然ネガティブ思考である。
ブラック企業に勤める彼女は、毎日毎日サービス残業と上司からのパワハラとセクハラに悩まされていた。
だが給料は高く、毎月コツコツと節制をして貯めた金は、既に1000万を超えていた。

そのお金の使い所がわからなかった彼女は、貯めるしかなかったのだ。

先程の一言を真面目に頭の中で想像していると、ふらふらと足が揺れる。
それはそのはず。
今日で彼女は、三徹目だ。

まぁそんな彼女は帰路の道端で偶然通りすがったひったくりにバッグを奪われ、偶然そいつが道路を横切っていき、偶然私も道路へ出たら、偶然。いや正確には気付かないうちに、だろうか。

彼女の身体は走ってきていた大型トラックに当てられ、見るも無残な状態で事故死してしまったのである。

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ふと、読んでいた巻物から目線を上げる。

まさか自分がこんな死に方をするなんて。

偶然重なりすぎだろ。

「どーお？分かった？キミが死んだ理由。」

『あぁ...まぁ....はい...』

「ウンウン、実に悲しい死に方だったよ！その巻物に書いてある通り、残酷な感じで死んじゃったんだもんね～」

目の前の人は神様だそうだ。

いや本当かどうかは分からないが。

だいたい皆さん気付いたら真っ白い空間に居て目の前の人に「キミは死んだよ！此処は下界と天界の狭間さ！」なんて言われたら信じますかこの状況を。

....まぁ、信じざるを得ないんですが。

私は事故死だ。それもかなり残酷な。

神様から見ると、私は人間としての生涯が短いだけでなく、その生涯までもが可哀想で仕方がない魂なのだそうだ。

「物凄く可哀想で可哀想で...だから、ボクがキミにもう一度機会を与えようと思うんだ！」

『転生ですか。』

「えぇ～せいかーい！良くわかったねぇ！」

ぱちぱちと手をならして笑顔で頷く神様。

どちらかというと神様じゃなくて幼子みたい。

「今の若い子は"鬼滅の刃"っていう世界が好きなんだって！だからキミもそこへ飛ばしてあげよう！」

色々ぶっ飛ばし過ぎですよ、神様。