狭く ページ16
某日、某所にある箱の楽屋、私は人生初のイベントに参加することになる
そもそもまず私を葵として認識している人で私を見たことがある人なんてとりとはんじょうくらいなものだ。今日は期待と違う人間であることを同業者に、リスナーに晒さなければならない
私が着いたのは5番目、既に居たのはとりと同じ混ぜるな危険というグループに所属している人達だ。名前がわかるのは…あぁ、あの、花のやつは知ってる。花というか寧ろ森みたいだな今日は。なな湖さん、確かとりはそう呼んでいた
とりあえず楽屋に入って掠れるような声でおはようございます、と挨拶だけはできたので私のこの飛躍的な成長を祝ってもう今日は帰っても大丈夫な気がする。帰れないわけだが
コミュ障の状況把握能力は高い。瞬時に人数と相手の表情を読み取ってしまう。別に特殊な力ではない、自分が傷つかないようにするためについた技術だ
そうして周りを見ていて私は気がついた。まだとりが来ていない
困った事に私の唯一の救い(認めたくはないが)が来ていないらしい。仕方が無いのでできるだけ息を殺して楽屋の隅っこで座って待っていることにした
ドアが開き、閉じ、人の出入りが激しくなる音がする。気がつけば楽屋の中は騒がしくなっていた
その輪の中に入れるわけもないので静かにエゴサしていると上から声がかかった
｢葵さん、ですよね｣
自分でも信じられないほど心臓が強く脈打つ。背中側で気持ちの悪い汗が出て、喉の奥では空気の通る音がした
｢はい、そうですけど｣
震える唇で、辛うじて音を作る。声になっていたかもわからない。顔を上げることが出来ていないが、足元の様子と声を聞く限りでは男性らしい
その男性は座って顔も上げない傍から見ると失礼極まりない私に視線を合わせるためにしゃがんだ。視界には迷彩柄が映る
｢先端恐怖症です。よろしくお願いします｣
とても落ち着いた不思議な空気の人だった。別に敵意も感じないので私は硬直している体を無理に動かして頷く
｢とりっぴぃさんから『もう少し時間かかりそうなんだけど、多分葵1人でやばいから何かあったらよろしく。』と、連絡頂いたもので、とりあえず話しかけとこうかと｣
…あのアホ……余計なことばっかりするな。私は1人の方が楽なんだよ見てたら分かるだろ
｢そんなに緊張しなくても殴ったりしないので｣
きっと、この人もいい人なんだろうな。でも、悪いとは思うけど、今はまだ貴方を許す余裕が無い
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沙夜(プロフ) - 更新待ってましたああ〜ゆっくりのんびり頑張って下さい！ (2019年4月14日 20時) (
レス) id: ee250ce5d7 (このIDを非表示/違反報告)
りんごバスケ(プロフ) - うおー！更新来たー！これからも頑張ってください！応援してます！ (2019年4月12日 21時) (レス) id: 749ec7ea50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ぽさん» 単純に読んでいる方の好みだと思って頂けるのが嬉しいです。尚且つそれを言葉にしていただいて、本当にありがとうございます (2018年9月23日 0時) (レス) id: 7602c113be (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 薊さん» コメント頂いてから更新までにお時間頂いてしまってすみませんでした。応援していただけてとても嬉しいです。ありがとうございます。これからも更新続けていきたいと思いますのでどうぞ最後までお付き合い下さい (2018年9月23日 0時) (レス) id: 7602c113be (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 沙夜さん» たいっへんに遅くなりましたすみません。いつもありがとうございます。頂いたコメント等すごく励みになっております。最近あまり頻繁に更新はできていないのですが終わりまでやりきるつもりではいますのでどうぞお付き合いください (2018年9月23日 0時) (レス) id: 7602c113be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう | 作成日時：2018年2月11日 21時
