4話 ページ4
｢なぁ、千空。また…ええ？｣
｢うん。良いよ｣
あの日から煌希に放課後呼び出される事が増えた。着実に俺の手中に入ってくれてるようだ。
『君の空色の瞳は見惚れる程綺麗だよ』
『サッカー本当に上手いんだね』
『煌希は頑張ってるよ。他の誰よりも』
煌希の欲しがる言葉は、惜しみなく言ってあげた。その度に本当に嬉しそうに笑う彼は見ていて、ゴクリと生唾を飲むものがある。
｢こんなに相談出来るの、千空だけやで！｣
｢そうなんだ。じゃあ俺ら、もう親友だよね｣
｢親友…？……んー……｣
｢あれ…違う？｣
ちょっと困り笑顔を浮かべると、煌希は少し慌てる。
｢いや、違わんな！親友やわ！こんなに優しい奴が俺なんかと親友でええんかなって思っただけやで！｣
｢ありがとう。…でもまた"俺なんか"って言ったね？ダメだよ。そんな風に卑下したら｣
頭を撫でると、ふにゃっとした笑みを浮かべる煌希。
｢ははっ…ごめんな！｣
嬉しそうに尻尾を振ってる犬のように見える。とても俺に懐いてくれたようだ。
｢煌希｣
前髪で片目を隠した煌希の親友、アスネが俺に視線を送りながらも声をかけてきた。
｢どしたん？｣
｢今日、家来ない？｣
…知ってるよ。
｢あ……ごめんな、アスネ…今日はちょっと用事があって…｣
煌希が彼の誘いを断った事無いって。
｢ごめんね。煌○は俺に"相談事"があるらしいんだよ。ね？親友｣
｢ちょっ、アスネの前で言わんとってや！(相談事を)｣
｢あはは、ごめんごめん｣
アスネの顔を見る。目だけ細めた無表情。
｢ご、ごめんな…｣
｢………そう｣
そう呟いてアスネはその場を去る。細めた瞳が寂しさで揺れた事を、俺は見逃さなかった。
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作者名：あなざ&AK | 作成日時：2020年2月15日 0時
