3話 ページ3
｢でも朝起きたら普通にしとるんよ…？昨日何があったん？って改めて聞いても……キョトン顔を"作る"だけで……それなんに普通に学校行って………｣
嗚呼、どうやら夜に昴が二人の記憶を消したらしい。何も知らない煌希から見たら、普通のフリをしている様に見えるのだろう。
｢ほんま心配なんよ……特に紫曜は溜め込むタイプやから……｣
｢うん｣
｢…ずっと…俺はそればっか気にしとって………それで俺まで苦しくなって…もうやれんの……｣
目から大粒の涙を流す。空色の瞳から落ちる雫は雨みたいでとても綺麗だ。
｢誰か…あの子らを…助けてえや…｣
そこに自分も助けてと言う意味が含まれている事を、俺は察する。
｢誰かに相談しようと思っても…出来んの……助けが呼べんの……言おうとしたら胸が痛くなるん…｣
｢…俺には痛くないの？｣
｢？…あれ…ほんまや……痛くない…｣
煌希は目を見開き、心臓辺りをペタペタと触る。
｢何でやろうな…？｣
｢さぁね。…でもさ、それって俺には相談出来る…助けを呼べるって事じゃない？｣
｢あ…そうなん…かな…？はは…昨日話したばっかなんに……変やな｣
背中を撫でてた手を頭に移動させる。
｢弟達の事はしばらく様子を見ておこうよ。構いられっぱなしも嫌だと思うよ…？｣
｢せや…な……うん……そうする｣
ニコッと人の良さそうな笑みを浮かべた。
｢大丈夫。大丈夫だよ…煌希……君は偉いね。そんなに家族を心配できる君は本当に家族想いなんだね｣
一番君が欲しい言葉をあげる。密みたいに甘い言葉をあげる。
｢え…えへへ……そうか？｣
｢うん。偉い｣
だから堕ちなよ。
｢……なぁ、また千空に相談してもええ？｣
｢勿論だよ。遠慮なくして｣
俺に。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あなざ&AK | 作成日時：2020年2月15日 0時
