2話 ページ2
次の日、また煌希に声をかけた。
｢届音君。弟達は大丈夫？｣
｢嗚呼、何事も無かったかのようにピンピンしとるで。…てか本当何も覚えてないみたいで……困った弟達やな！あーっはっはっはっ！｣
どうやら昴の記憶消去は完璧らしい。少しホッとした。
｢それで…紫曜達はどうなったの？｣
隣の席に座っている片目を隠した少年が話しかけた。どうやら彼らは会話の途中だったらしい。
｢………今日は普通に学校行っとったで。昨日は…な、何やったんやろうな……｣
少し煌希の笑顔が陰る。
｢煌希？｣
｢あ…えと、な……アスネ……｣
｢ん｣
｢…あぅ……あの……｣
胸を押さえる仕草をする煌○。今がチャンスだと俺は煌希の肩を掴んだ。
｢ねぇ、大丈夫？ちょっと保健室行った方がいいよ｣
｢え…い、いや…大丈夫…｣
｢無理しない方がいいって｣
彼を立たせ、半ば強引に教室から連れ出す。
｢俺は大丈夫やって言っとるやん！｣
｢ううん。大丈夫じゃないよ｣
保健室の椅子に座らせ、目を閉じた。彼に赤い目を見せない為に。なるほど。助けを求めたら胸が痛くなる、これは彼の性質らしい。でも俺の能力の前では無効だよ。
｢あっ…？…なんか……？｣
｢辛い事があったら話してみて、"煌希"｣
そう言うと煌○は眉を八の字に下げた。
｢……あんな…俺の弟妹の…紫曜とサファイア…昨日からなんか苦しそうやねん……｣
｢昨日から？｣
｢おん…何があったんか聞いても…何も言ってくれんの……サファイアは部屋に閉じ篭って…紫曜はただ俯くだけで……｣
背中を撫でてやる。初めて話して二日目とは思えない距離感だ。普通なら。
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作者名：あなざ&AK | 作成日時：2020年2月15日 0時
