夢の中で… (ページ12)

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初めて会った日からほぼ毎日屋上に通っている
先輩がいる日もあれば、いない日もあって、
友達とギクシャクしてからは完全に逃げ場所になっていて、いない日はだいぶメンタル削られてた

『あ、よかった』

ギギギと変わらずに鳴く屋上の扉が開くと、思わず声が出てしまう

「また来たの」

"暇なの？友達いないの？"って、続けて聞いてくるあたり、先輩には良心ってもんが無いのだと察する

『なんでそんな意地悪なことしか言えないんですか？』
「事実じゃん」

いつもと変わらない寝転んだ姿勢で、眩しそうに目を細めながら太陽の光を浴びている
その割に先輩は凄く白い、オカシイ

『いつも女の子に冷たいんですか？』
「俺の何を知っててそんなこと聞いてるんだ？」
『……それもそうですね』
「しかも後輩だしな、ガキだよガキ」
『…意地悪ですね』

何食わぬ顔でそう言ってのける先輩に、私は思わず唇が出てしまう
ムッとした顔をしてれば、先輩がチラッとこっちを確認してからフッと口角を上げた

「まあ、仲良くしようや」
『私は歩み寄ってました』
「そうだねー」
『…なんなんですか』

ククッと楽しそうに口元だけ笑う先輩
相変わらず目は閉じたままだし、こっちなんて見向きもしない

『そういえば、お名前なんて言うんですか？』
「本当に今更だな」
『なんか聞く機会が無くて』
「…んー」

何故か名乗らず悩み出す先輩
名前すらも教えてもらえないのか…

「agu/st d」
『へ？あぅ、？？？』
「a/gust d、調べてみて」
『調べるんですか？？』

言われるがままに調べるといくつかの動画が出てくる

「その名前で活動してるから、いつでも連絡してきていいよ」
『え？本名を教えてくれないんですか？ってか、なんの活動ですか？』
「音楽活動」
『え！凄いですね！…いや、本名』

ククッと今度は目まで笑ってる先輩
なんか一人で楽しそう…

「本名なんて知ったって、あと数ヶ月で会わなくなるんだから」

そう先輩に言われてハッとした
先輩は卒業するのか

「だったら活動名知った方が、その後も連絡しようと思えばできるでしょ？」

なんて言いながら先輩は体ごと横向きになり、こっちを見てきた
その仕草の大人っぽさに年齢差を突きつけられ、私は思わず生唾を飲み込んだ

「まあAがしたければだけど、ね？」

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一応、あえての小文字＆検索避けです