22.殺生な YG side ページ22
※ YG side
Aヌナじゃないスタッフに顔を触られるのがあまり得意じゃない。
腕は悪くないんだろうが、俺も人見知りだから色々と構えてしまうのもあって、鏡を見るといつもの俺じゃねぇ。
いや俺なんだけど、俺じゃねぇ。
美容室に行く事がない俺達のヘアカットやカラーもAヌナがやってくれていたが……
さすがにこればっかりは、いくらなんでも別のスタッフでは任せられない。
YG「前にも言ったけどそろそろ髪染めたいんだが。」
MG「あー言ってたね、会議でもOK出てたしね。今からしますか？」
YG「いやAヌナいねーじゃん。」
MG「ヘアメイクスタッフは全員美容師の免許持ってますよ？」
YG「ごめん、俺のワガママなんだろうけど、髪はメイクみたいにやり直し効かないからAヌナに頼みたい。」
MG「Aチーフなら明日の収録で現場に入りますから、入り時間早くしてやってもらいましょうか。」
YG「すまん、頼む。」
Aヌナの出世は、自分の事のように素直に嬉しかった。
直接ヌナの口から聞きたかったのはあるが、彼女の頑張りは一番近くで見ていたわけだから嬉しい事に変わりない。
ただ……
マネージャーよりもあの細やかなケア。
会社と俺らの間に入ってくれる信頼感。
ダントツの腕とセンス。
それが現場に、俺らの所に常にないと困る。
Aヌナのあの笑顔。
その場の空気を和ませる雰囲気。
甘すぎない爽やかな香り。
それが現場に、俺のそばに常にないと困る。
_______________Aヌナがいない。
たったそれだけのことなのに、全体としても個人としても、Aヌナが与える影響の大きさは「それだけ」では計り知れないものがあった。
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作者名：kee x他1人 | 作成日時：2018年9月16日 23時
