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24.冷戦時代の幕開け ページ24

数日間のオリエンテーションを終え、久しぶりの現場入り。


事前に頼まれていたヘアカットとカラーの為に、予定時刻よりも四時間前に会社に行けば、そこにいたのはユンギさんだった。




( しまった… )




マネージャーさんにメンバーの誰のカットをするのか、ちゃんと確認していなかった自分を責めたくなった。


ユンギさんの顔を見るなり、私は忙しさを理由に先日のジョングク君の告白すら忘れていた事に気付く。





YG「お願いします。」


『は、はい。』


YG「こんな感じにしたいんだけど。」


『承知致しました。』



会議で次のコンセプトに合わせたヘアメイクは既に決まっていたので、それに影響がない範囲でのカットやカラーを行う許可を得ている。


早速ユンギさんの髪に触れながら、『あ〜久しぶりだな〜。』と現場の良さを再確認していたのも束の間。


少し不機嫌な彼の声が、私の呑気な空気を切り裂いたのだった。




YG「随分とご出世されたようで。」


『はい、お陰様で。御報告が遅くなり申し訳ありません。』




鏡越しに見るユンギさんは、数日前の私をからかうユンギさんとは別人のような、それはそれは驚く程の他人行儀であった。




YG「聞くところによるとソンドゥク先生、セジンヒョンと同等の権利を持った地位になられたとか。」


『そんな、改まってやめてくださいよ。敬語もなんだかくすぐったいのでいつも通りでお願いします。』


YG「そもそもAヌナは年上ですし。」




敬意を払ってくれていると言うより、あの日の冷たさを敬語という壁で表しているようにしか思えず……居た堪れない。




『役職を頂きましたが、オリエンテーションも終わりましたし、またほぼ現場にいるのでそんなに変わりませんよ。』


YG「そうですか。僕としてもやはりAヌナの腕を信頼していますので、ヘアメイクを担当し続けていただけるのは助かります。」


『ありがとうございます。』


YG「言いそびれてしまいましたが、先日は失礼な態度を取ってしまい、申し訳ありませんでした。」


『いえ、とんでもないです。私こそ、見苦しい姿をお見せしてすみませんでした。』





そんな謝り方なら、してもらわなくて良かったのに。


あの冷たさは今もここに残っているじゃない。


そもそも謝って欲しいとも思っていなかった。


自覚に欠けた行動を取っていたのは、私だったでしょ。






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作者名:kee x他1人 | 作成日時:2018年9月16日 23時

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