コーヒーの香り ページ3
名残惜しいなんて、私は北斗くんに対して、何てことを思ってるんだろう。
彼のことが頭を支配しているのに、目の前にいるのは北斗くん。
なんだか、自分が気まぐれで動いてる人かのように思えた。
考えをリセットしたくて自分の手を強く握ってた。
凄く長く感じた沈黙の時間。
「......長い時間、居させちゃってごめんなさい。話聞いてくれてありがとう。」
『....ねぇ、Aさん?....コーヒー、もう一杯だけ貰える?』
もう、帰ってもらおうと思って声をかけたのに、北斗くんはそんなことを言った。
「........どうぞ。」
『....ありがとう。あのさ、俺は確かに人前に出る仕事してる。もちろん好きでやってる。......でも、それが原因でAさんに会えなくなるのは、嫌、かな。』
「......ごめん。正直、今、頭が混乱してて何て言えばいいのかが分からない。」
『....弱ってる時に、つけ込むような真似してごめんね。でも、好きだよってことは本心で、俺の今の気持ちだから。それだけは、分かっててよ、Aさん。』
「.......っ.....」
『俺なら、ちゃんとAさんと向き合える自信ある。......確かに、出会って間もないんだけどさ、なんかね、それだけは分かるの。』
そうやって、頭の中を混乱させてくる。
本当は彼から言って欲しかった言葉を、なんで北斗くんはくれるんだろう。
コーヒーの香りが漂う部屋の中で、そんなことを思った。
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年4月19日 16時