6. 桜桃 ページ6
.
「 え - 、不破くんは幾つなの〜？ 」
「 俺？俺は26やで 」
目の前で無駄に高い女性特有のキンキンする声が響く 。
この場でため息を吐けば雰囲気を悪くしてしまう 、と私は先程から心の中で何度も何度も息を吐いている 。
『 先輩 、やっぱこれ合コンじゃないですか 。』
「 いやいや 、飲み会や言うてるやろ？ 第一合コンでこんな仕事帰りの汗まみれのスーツ着て来るかいな 。」
男性陣が知り合いな為 、特に聞くとも無い 。と暇を持て余していた私は 、先輩に耳打ちする 。
私は結婚などする気は更々ないのだが 、こんな咋な出会い目的の空間に囚われているのか 。
「 もっと若いかと思ってたぁ 、可愛いっ〜 」
「 何や幼い言いたいんかー？ 」
先輩の返答に返す言葉も無く 再び黙り込むと不破くんと話していた女性陣からきゃ - っと黄色い歓声が上った 。
酷く退屈だ 。
それに寒い 。とても寒い ··· 、夏なのに 。
早くうちに帰って愛猫に抱きつきたい 。抱きしめたい 、
遂に堪えられず顔を歪めた私の前に 、すっと薄い桃色のカクテルが差し出される 。
ちょこんと控えめに飾られた
先輩にゴリラと言わせたと言えど 、私も女だ 。美しい見た目の物には惹かれる 。
「 大丈夫ですか 、？ 藤宮さん 。」
優しい声色で此方に語り掛けてくれた相手 、私の左隣のその人を見れば 穏やかな笑顔に強ばっていた顔が緩んだ 。
カクテル 、彼が注文してくれたのだろうか 。
少し困った様に笑って見せては 『 戴きます 、』と小さく呟いて カクテルに唇を付ける 。
酒は好きな方だが 、こんな所でがぶ飲みしてはドン引き案件だ 。大人しく少量こくりと飲み込む 。
ふわりと鼻を掠める優しいお酒の香り 。甘く口内を溶かす様な 、満たされる感覚に不思議と口角が上がる 。
『 美味しい ··· 、』
「 適当に選んだのでお口に合うか心配でしたが ··· 、良かった 、その表情の方が素敵ですよ 。」
『 ······ 有難う御座います 、』
にへ 、と柔らかく頬を緩める彼を見ては 、何故彼より他の二人の方がモテるのか 、不思議に思えて来てしまった 。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 711人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朔雨(プロフ) - 海月さん@睡眠不足さん» 御指摘大変感謝致します、！確認不足で申し訳御座いません...。少々機械音痴故ガバって仕舞って居た見たいです。修正致しました！ (2020年7月8日 21時) (
レス) id: 638a85cc86 (このIDを非表示/違反報告)
海月さん@睡眠不足(プロフ) - コメント失礼いたします。（飼い猫）（名字）など、名前の変換が上手くいっていないようです。ご確認宜しくお願い致します。 (2020年7月8日 20時) (レス) id: d3392eea98 (このIDを非表示/違反報告)
ルマ(プロフ) - 朔雨さん» いえいえ！私は作者様に返事を貰えて嬉しいです！これからも頑張ってください！ (2020年7月5日 18時) (レス) id: 93c65e8f36 (このIDを非表示/違反報告)
朔雨(プロフ) - ルマさん» わぁああ 、ありがとう御座います 、！コメント頂けてめちゃくちゃ嬉しいです( (2020年7月5日 18時) (レス) id: a38760535c (このIDを非表示/違反報告)
ルマ(プロフ) - え、好きです() (2020年7月5日 18時) (レス) id: 93c65e8f36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朔雨 | 作成日時：2020年7月3日 23時
