溢れてしまった本音 ページ35
ベンチに腰掛けてから、ゆっくり私の手を握った北斗くん。
彼氏のことで泣いていることは、バレていた。
今の状況にこれ以上ないくらい戸惑ってしまって、手を離した。
『...話して？何があったの？』
「...上手く前に進まないだけ、だよ。それだけ。」
そりゃ、表に出る人なんだから、眼鏡もかけるし、マスクもする。
妙に冷静に今までのことを思い出してた。
『...そっか。大丈夫？その彼氏は、ちゃんとAさんのこと考えてるのかな。こんなに1人で泣いてるの知ってるのかな。』
「...それは...いいんだよ。」
『...良くないよ。全然、良くない。俺、見たくないんだよ、Aさんの泣いてる顔。...ごめん、話し過ぎた。なんで、電話くれなかったの？1人で泣かないで、って言ったでしょ。』
北斗くんは、クールそうな見た目とは違って、やっぱりよく喋る。
そんな関係のないことを考えてしまうくらい、戸惑う気持ちをどうにか落ち着けたかった。
「...大丈夫。北斗くんには、頼れないよ。テレビを見るまで知らなかったの。北斗くんのお仕事。」
『俺ね、Aさんには、知ってほしかったの。俺がどんな仕事してるとか、そういうこと。だから、嬉しいよ。』
私の気持ちとは裏腹に、北斗くんは嬉しそうにそんな言葉を伝えてくれた。
『...だから、頼って欲しい。泣きたい時は、1人で泣かないで。...俺にいつでも連絡してきて欲しい。』
そんなふうに言ってくると、何も言えなくなる。
「...私は彼と離れたくない。向き合ってるつもりだけど、なんか空回りする。」
真剣な目をして頼って欲しいと伝えてくる北斗くんを前に、色んな疑問や戸惑いが消えて、本音が溢れてしまったんだ。
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ユウ(プロフ) - chiiiさん» コメントと、とても嬉しい言葉ありがとうございます。ゆっくり更新にはなりますが、お付き合い頂けたら嬉しいです。 (2021年3月9日 2時) (
レス) id: 5c9c115c79 (このIDを非表示/違反報告)
chiii(プロフ) - お話一気に読みました！更新、楽しみにしてます。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: 461d1077d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユウ | 作成日時：2021年2月24日 17時
