勢いで ページ20
存在を忘れてしまっていた紙の切れ端は、バッグの底でクシャクシャだ。
クシャクシャの紙の切れ端を手に、松村さんに電話をかける。
もしもし、と遠慮がちに聞こえた声にハッとした。
酔っ払ってしまった勢いでかけてしまった。電話をかけたのは私なのに、焦って言葉が出てこない。
しばらくしてから、松村さんから聞こえてきた会いたい、と言う言葉。
...なんで?
落とし物をしただけの私になんでそんなことを言っているのか、正直分からない。
『...今どこにいますか?会いたいです。』
「...え?松村さん?...え、なんで...」
『...何でって、なんか寂しそうな声してるから。だから会いたいと思った、んです。確かに、俺はAさんの落とし物を拾っただけの、それだけの人ですけど...でも、』
凄い勢いで話してくる松村さんに圧倒されてしまう。
『...だって、スマホを拾ったときも、何か寂しそうだった。だから、俺で良かったら話聞きます、って言ったんです。電話して、って。話聞いて欲しくて、電話してきたんでしょ。』
どんどん砕けた話し方になってるし、電話してきたんでしょ、って言う松村さんにもビックリだ。
勢いよく話してきたけど、どこか落ち着く声をしているせいかな。
それとも、スマホを拾ってくれて話した時に悪い人ではないと直感で感じたからかな。
「...分かりました、分かりましたから。...目黒駅、の駅前の...ここなんだっけ」
『目黒駅ね?わかりました、そこ動かないで。今から行きます...俺で良かったら話聞きますから。』
話を聞きますから、という松村さんからの言葉。この間と一緒だ。
何故か、また松村さんと会うことになってしまった。
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ユウ(プロフ) - chiiiさん» コメントと、とても嬉しい言葉ありがとうございます。ゆっくり更新にはなりますが、お付き合い頂けたら嬉しいです。 (2021年3月9日 2時) (レス) id: 5c9c115c79 (このIDを非表示/違反報告)
chiii(プロフ) - お話一気に読みました!更新、楽しみにしてます。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: 461d1077d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年2月24日 17時