夜風と発信ボタン ページ18
「...っ...はあー...」
嫌な予感と共に、大きなため息が出る。
浮気？とか、他にいい感じの子が出来た？とか、結婚の話も少し出ていたはずなのに。
何で、いつ、ってそんなことしか頭に浮かばない。
大学の時に出会って同窓会で再開した彼とは、仲良くなるのに時間はかからなかった。
趣味も合う彼とは居心地が良くて。
これからずっと一緒にいるんだとなんとなく直感で思ったりもした。
だからこそ、こんなことを考えるようになるとは考えもしてなかったんだ。
彼は、誠実に私と向き合ってくれているはず。
こんなことになっているのに、真実を聞くのが怖い。
離れるという、選択をしたくないからだ。
また新しいジントニックが目の前に届いた。
グッと流し込んだら、ふわふわして、もう何も考えたくなくなった。
「...帰ろうかな。」
マスターに伝え、店を出る。
冬が近づいてきた東京の夜は、一気に寒さを感じた。
夜風に当たりながら歩いていると、何故か酔いは冷めるどころかお酒が回るような感覚がする。
こんな状況から連れ出してくれる人いないかな、なんてバカみたいなことを考えた。
酔ってしまった私は、バッグに入った紙の切れ端を思い出す。
おもむろにバックから紙を取り出し、そこに書かれた電話番号を雑に押す。
もう、無意識だったと思う。
松村さんに向けて、発信ボタンを押していた。
プルルル.....
『...え、あ、もしもし。』
「...もしもし、松村、さん、ですか？あのスマホ、拾ってくれましたよね、その時の」
酔っ払った私の声は、とても不安定な声だった。
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ユウ(プロフ) - chiiiさん» コメントと、とても嬉しい言葉ありがとうございます。ゆっくり更新にはなりますが、お付き合い頂けたら嬉しいです。 (2021年3月9日 2時) (
レス) id: 5c9c115c79 (このIDを非表示/違反報告)
chiii(プロフ) - お話一気に読みました！更新、楽しみにしてます。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: 461d1077d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユウ | 作成日時：2021年2月24日 17時
