クズなあいつが好き【ky】 ページ5
・
｢ただいま〜｣
｢…おかえり｣
朝、私が仕事に行く支度をし出した頃にようやく帰ってきた恋人は、今日も知らない女物の香水を纏っている。
絶対、浮気してる。そんなのわかってる。でも彼は束縛されるのが大嫌いだった。なんで浮気してるの？！なんて癇癪を起こせば、この関係はすぐ破綻するだろう。
そんな最低なヤツ別れればいいと言われればそれまでなのだが、そんな彼も好き……だなんて思ってしまう私はおかしいのだろうか。
「仕事頑張ってね？」
昨日私以外の誰かに触れたであろう手が伸びてきて、私の髪を撫でる。少し伸びた前髪の奥に見える光の無い目が、堪らなく好きだった。
・
「……あれ、フジくん？」
「Aちゃん、おつかれ……」
仕事終わり、帰り道にあるコンビニの前でフジくんと遭遇した。ちょうどキヨの家で実況を撮った帰りだそう。
「あのさ……Aちゃん。よかったらそこでお茶しない？」
「でも……」
夕飯のために買ったスーパーの袋を見せると、なぜかフジくんが顔がどんどん暗くなっていく。
「キヨ……いないよ」
さっきからずっとフジくんは言いにくそうに、ずっともごもごしていた。キヨは多分、フジくんに他の女のところにでも行ってくるとハッキリ言ったのだろう。私に言っていいのかどうか、葛藤している。
「……浮気してるでしょ。アイツ」
「えっ？」
「そんなの、女の勘で直ぐ分かるよ」
そう言った瞬間、私の脳裏にある疑問が浮かんだ。もし私が逆に浮気してたら、キヨは果たして怒るのだろうか。それとも、全く気にもしないのだろうか。
「いいよ、フジくん。でも喫茶店じゃなくてホテル行こ？今日は冷蔵しなきゃいけないもの買ってないし」
「え、ちょっ」
袋を持っていない方の手で、フジくんを引っ張る。そのまま駅の近くにあるネカフェに入った。
「流石にフジくんに申し訳ないからね。ただここで徹夜、付き合ってね」
「う、うん……まじで連れていかれるかと思ってびっくりしたよ……」
その後はフジくんはパソコンで編集を、私は動画を見たりゲームしたりと各々好きな時間を過ごした。特に何も起こることはなく、平凡な朝を迎えた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちご丸 - 素敵..本当に素敵です！特にうっしーの話がグッと来ました..!大好きです。 (1月4日 1時) (
レス) @page4 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - キャラ崩壊が全然無くて実況者様一人一人の魅力が伝わってきました！とっても面白かったです( ＾∀＾) (12月27日 22時) (レス) @page8 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
ふゆこ(プロフ) - 私もドームイベ行きました！！最高すぎましたね！！！！共有したい気持ちがわかりすぎて思わずコメントしてしまいました♩これからも楽しみにしてます！ (6月3日 23時) (レス) @page7 id: fe6b1e796f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆ。 | 作成日時：2023年4月29日 23時
