54 168時間の代償 ページ10
目を開けると青が広がっていない。
何だか鼻を刺すような匂いがする。
「Aちゃん！起きたのね、良かったわ。
みんな心配したのよ。」
「…、ぇ…？、秋ちゃん？」
「どうしたの！？どこか痛い？」
「ううん、そうじゃ、なくて。何で私…こんな所にいるの？」
秋ちゃんの大きな声で目が覚める。
手すりがついた大きなベッドとこの匂いで病院だと判断。練習をしていた所からまるで記憶がない。
でも秋ちゃんの早口になりながらの焦った様子から大きなことをしてしまったかもしれない。
「本当に、何も覚えていないの？」
彼女の言葉に固唾を呑んで頷くと言いづらそうにしながらも目を見開いて話してくれた。
「Aちゃん、倒れてたのよ。」
「…え？倒れてた？」
「あの大きな山よ！円堂君達とずっと探したのよ。」
「た、倒れてたって私練習してて…」
「とにかく、先生と監督呼ぶわね。」
そう言って彼女は走りそうな勢いで病室を飛び出した。
足が動かしにくいと思い布団を動かしてみると包帯が巻かれている。
腕や首など至る所に傷もくっきりと残っている。
右手を見てみると手の甲で交差されていて、手首で固定されていた。
廊下の足音が響く。恐らく複数人いる。
それよりこんな所で寝てないで速く特訓を…
「Aさん、体調はどうですか？」
「、はい。問題ないです。」
目付きが鋭い男性の先生だ。少し怖い。
「良かったです。
…早速ですが、今の状態をお話しますね。
あなたの足がしっかり練習に参加できるまで少なくとも一週間は掛かると思われます。」
「…、すみません。もう一度…」
「少なくとも一週間は掛かります。」
今度は断言して言われた。
私の言葉を遮り、その部分だけを強調するように聞こえた。今、なんて？
「い、1週間って！
予選までもう少ししか時間がないんです！
何とかしてでも治りませんか！」
「難しいお話ですね。
過度な練習が体に響いています。
それに、日々の疲れも影響したのでしょう。
こんな状態で練習など許可できません。」
「そんな…！だ、だって。今までその日のために練習してきて…！もうすぐ技だって完成するかもしれないのに！」
自分でも顔が真っ赤になるように感じる。
目の端に秋ちゃんの心配する姿が映る。
「もう辞めろA。」
低く、隠しきれない怒りの籠もった声が病室に響いた。
「か、監督…。」
監督に目も合わせられず視線を右にズラすと、豪炎寺という文字が見えた、この先生の名札に。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
