52 はみ出しもの :NoSide ページ8
「円堂君、Aちゃん見なかった？」
「A？どうしたんだろう。いつもすぐ来るのに。」
「今日Aはグラウンドで練習すると聞いていたが…見てないな。」
食堂に人が集まりだす。席が埋まりだした頃、空席が一つ生まれる。…壁山の隣の席が。
ポツンとした椅子に、大きく置かれたスパゲッティはクルクルと巻かれたまま。
みんなが食事を摂ろうとしない。
「…探しに行こうよ。
もしかしたら、時間を忘れて練習してるのかも。」
左右線対称に跳ね、緑に輝く瞳がそう告げる。
…嫌な予感がすると。
「よし、みんなまずグラウンド行くぞ！」
そう言うとガタガタと椅子の音が聞こえて各々カタカタと食器を置く音がする。
マネージャー達も少し濡れた手のまま外に出た。
「おーい、A！
もうご飯の時間だぞ！おーい！」
バンダナの大声も夜空に溶けるだけ。
無惨にもその声はイナズマジャパンのはみ出しものには届かない。
＿＿その後も合宿先を少し飛び出し、河川敷。もしかしたらと商店街に寄るも、その姿は見つからなかった。
「…何かに巻き込まれているのかも。」
河川敷。
月に照らされながら落ち着きを取り繕っている少女の言葉により不穏な空気が漂う。
「わ、私！監督に伝えてきます！」
「春奈ちゃん、一緒に行くわ。」
「音無、秋！頼んだぞ！」
「…もしそうだったら警察沙汰じゃないか…。」
「た、大変じゃないっスか！」
徐々に焦りが芽生える。
この時点で1時間。一向に見つかる気配がない。
ドンドン暗闇を増して気持ちを急かす。
「俺、アイツがどこにいるか知ってるぜ。」
「不動…」
唯一しっかり見たという人物を発見。
しかし誰も喜びの声を上げない。
悶々とした状況の中、高々と声を上げる。
「あのデッケェ山でなんかしてたぜ。
ま、ウザかったからテキトーに無視してやったけどな。」
「不動！」
マントが靡く。強く握り拳を作り、眉を逆立てる。
「てか今行かないとマズいんじゃね？
あのウザってぇ女倒れてたし。」
"倒れてた"そのワードにより焦りが掻き立てられる。長いまつげの一つ一つの言動がチームメイトを苛立たせる。
「みんな、早く行くぞ！」
「待て円堂。アイツの言葉なんて信用しちゃ駄目だ。」
「そんなこと言ってられるか！
不動だって俺達の仲間だ、唯一の希望なんだ！」
そう言って向きを180°に。
とりあえずで走っていた為、目的地からの距離がより長くなる。
それでも躊躇わず、全員が走り出した。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
