51 慣れた油断 ページ7
突然嫌な言葉が聞こえて彼の方向を見たが、もう姿は見当たらなかった。
女のくせに…か、確かに正論。
今のスポーツは女子が男子に勝てるなんてありえない。
…そもそも足音がまるで聞こえなかった。彼は何者？彼を練習で見掛けないこともあったが、このような場所で1人練習していることが分かった。
監督に許可を得ているのかな。
…彼のような人は1人の方が気が楽なのかもしれない。
怪我を手当するために水で洗って…とにかく宿舎に戻らなきゃ。
秋ちゃんの心配の色を見せた声を脳内で再生する。
…少し怒られるだろうな。
最後に一度だけと振り返る。
…大きな亀裂を見た。
未だに信じられない。
これを人間が、私がやっていたとは信じられない、信じたくない。
秋ちゃんの次に、鬼道君の言葉が再生される。
…とにかく今は練習に集中しなければいけないのでは？次の試合までに完成させなければいけないのでは？頑張らなければいけないのでは？
この感覚、忘れたくない。
体の向きを戻す。
やるべきことを、やらないと。
だ、大丈夫。さっ…きより低い。
そう思って私はまた飛び降りた。
やはり何故か痛みを感じない。
むしろどこか気持ち良さすら感じた。
足を地面に叩きつけるほど、亀裂が大きくなる。
いずれこの山が割れてしまうのではと思うほどに深さのある大きな亀裂が入る。
何度も無防備な特訓を続けた。
崖から飛び降りて、また登って、また飛び降りて。
第三者から見れば本当に酷いことをやっている。
しかしもう緊張しなかった。怖いと思わなかった。躊躇いを無くした。この練習が最も技が吸い付くように感じた、成長を感じた。
慣れれば慣れるほど心を掻き乱された。
私の脳は正常に動いていない。
それが、いけなかった。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
