50 不可能 ページ6
「ぃ゙ったぁ…」
ドンと醜い音が鳴った気がする。
耳からキーンと変な音が聞こえる。
思わず腹から声を出したがそこまで痛みがなかった。
さほど高くない。
私が落ちたところから柵が無かったのかも。
骨も恐らく折れていない。
よ、良かった…！
誰かに見られていたら恥ずかしいと思いすぐに立ち上がろうとした。が、何故か立ち上がることができない。
不思議に思って下を見た。
「え…え？な 、んで…？」
異様に大きな亀裂が入っていた。
…？ここは岩でも落ちてたの？
でも最初からこんな物があったら。私の足は無惨にも切れていないとおかしい。
どうしてこんなにいつも通りなの？
れ、冷静になれ。落ち着け。
フゥーフゥーとわざとらしく呼吸を整える。
ふと前回の試合のビデオを思い出した。
これほどではないが土が見えるほどの亀裂があったはずだ。
低い崖から落ちた事で足に力が籠もっていたかもしれない。
なにより私を中心に地面が抉れている。
これを私がやったの？
神経が震えた。
いや。こ…こんなの人間ができるわけない。
だ、だって。今までこんな、の…！
エイリア学園とかは別だ！
息が上がった。
甲高い声が肺から出た。
「おい、使うなら静かにしろよ！」
ハッと気が戻った。
こ、この声は…
「不動君…」
長いまつげが光に照らされているが、私を酷い目で見ている。
と、んでもない人に見られてしまった。
「こんな所で寝転んで何してんだよ。
デケェ音はするわデケェ声はするわ迷惑なんだよ。」
「も…申し訳ない…」
とにかく立ち上がろうとするも右足が少し動かない。捻ってしまっているかもしれない。
「…あのさ、手貸してくれない？」
「はァ？何でだよ。」
「ちょっ…と上から落ちちゃって。」
我ながら恥ずかしいことをしている。
案の定不動君も舌打ちをしながら濁点が付きそうなため息をついた。
「めんどくせぇな。ほら、速く手ぇ出せよ。」
「…ありがとう。助かったよ。」
思った以上に素直。
彼のスラッとした指をチラっと見てから切れていない左手で強く握った。
バランスを崩しそうになったが、彼の方に倒れ込めば恐らく変わりに拳が返ってくるので、全神経を使って何とか立った。クルクルと足首を回してみたが、いつも通りだった。
「良かった、大丈夫だ。」
「ったく…女のくせに調子乗るなよ、Aチャン。」
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
