90 ファイアードラゴン戦4 ページ46
ベンチに緑川君と鬼道君が下がるよう命じられる。
2人共足に負担を掛けすぎていた。
「不動、お前が出ろ。」
鬼道君の顔が歪む。
円堂君でさえも顔を顰め、不審に思っている。
本人もここで呼ばれると思っていなかったのか、目を見開き、咄嗟にニヤリと笑った。
「敵は不動を知らない。」
鬼道君の的確な訴えに、監督はそう答えた。
確かに、不動君は一度も公式戦を出ていない。
なら相手は対策を練りにくいだろう。
「不動は、ジョーカーだ。」
でもそれは相手と同じように、私達も不動君の事を知らない。あまり一緒に練習せず、誰かと楽しげに会話を弾ませている所も見た事がない。
彼の性格上、乱暴なプレーを好む。
何とかして彼の動きを見極めな＿
「…良かったねェAチャン。怪我が治って。」
思考停止、後ろを振り返る。
眉間に皺がメキメキと寄るのが分かった。
「不動！余計な話をするな！」
「A。あんな奴気にすんなよ。」
空気が淀む。
綱海先輩はお得意の励ましで何とか今より重力が重くなる事を防いだ。
表面上では良い響きだが、結果として苛立ちを誘った。
「A、気を付けろ。」
バスの中の会話が蘇る。
…早く、誤解を解かないと。
円堂君を助けるどころか、私がチームを駄目にしている。自分の実力不足に目を細める。
突然頭にポンッと疑問が浮かび、指を小さく立てて数え始めた。
＿キーパーに1
ディフェンダーに4
ミッドフィルダーに1
フォワードに3…
不動君で10だから…
「このまま10人で行く。
Aはミッドフィルダーでボールを上げなさい。」
「え！…あ、はい。」
ベンチから驚嘆の声が上がる。
突然のポジション変更に頭の天辺から声が出る。
確かに負傷者が多いが、まだベンチには残っている。ただでさえ点が足りない今、守備を固めながら点を取りに行かなければならないのに。
円堂君が出ず、人数不利となり、不動君が出る。
所々から不平不満が流れる中、この空気から逃げるようにフィールドに入った。
不動君は緑川君のポジションに入り、軽く体を動かしていた。
何故だか、彼の背中が大きく見えて仕方なかった。
「「さぁ、後半開始！」」
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
