49 終わりを知らせる走馬灯 ページ5
「…ありがとう基山君、打ってくれて。
絶対にカッコいい技作るから。」
「力になれたなら良かったよ。」
ドタドタと足音が聞こえた。
…良かった、ちゃんと来てくれたね。
「おーい、ヒロト！何してたんだ？
…ってあれ？Aさん？」
「緑川君。
じゃあ基山君、またね。」
私が準備したタオルを横目に見ながら部屋に戻る。
颯爽と携帯を取り出してメールを打ち込んだ。
今なら監督に会える、
どこからともなく分からない自信が湧いてきた。
自信か、緊張か。
それでも監督に言いたい言葉が溢れ出てくる。
「お母さん、監督と会うよ。」
「あらそう。いつくらいが良いかしら。」
「また連絡する。監督と少し予定確認しといてくれるかな。」
「ええ、分かったわ。」
私から電話を切った。
私から連絡することは中々無かったから無性に緊張した。
休みが貰えれば…
2人の様子が気になり窓から外を見てみた。
なにか話しているが、少し遠いからよく聞こえない。いや、2人だけの会話を部外者が聞いて良いのか。
そう思いすぐに窓を締めた。
予選突破できれば少し休みが貰えるかも。
その時まで最後の辛抱だ。
「だ…めだ、全然踏み込みが足りない…！」
練習時間となって私はまた必殺技を生み出そうとする。
あの鬼道君に期待されてる、あの基山君に期待されてる。みんなに期待されてる。
気分転換しようと少し山を登ってみたものの、返って練習しにくい。
整備されていない分木の枝や鋭利な石などがあり怖い。何となくイメージはあるが全く形にならない。
もう一回走り込む？
いや、技が最優先だ…。次は決勝だからっ…
「わっ…」
突然強風が拭き始める。
サッカーボールの質量は耐えきれず転がる。
咄嗟に追いかけると突然景色が変わった。
「ぇ」
あ、あれ？足場が…
枝に掴もうと試みるも失敗。手を切ってしまう。半回転してしまった。
脳内に今までの空っぽの思い出が流れてくる。
これが走馬灯というもの？
わたし、ここで終わりなの？
何も出来ないで終わりなの？
期待されて終わりなの？
いや、まだだ。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
