84 結びつかない席 ページ40
豪炎寺君の為にもと強く決心した試合。
初めから躓いたかもしれない。
「せ、席が…座れる席が…」
いつも私はバスは颯爽と乗り込み、必ず窓際。且つ勝手に隣に座ってくれる為、席に困った事は無かった。
大抵隣は飛鷹君か不動君という何とも言い難いメンツだ。
しかし窓際ならボーッと景色を見ていればあっという間に会場。
ただ今日はどうか。
必殺技を上手く出せるかだとか、円堂君をどうフォローするかだとか。
悶々と考えを膨らませていればチームメイト全員が乗っていて、席が限られた。
パッカリ空いているならやはりいつもの後ろ。
両サイドの席は3人掛け。マネージャー達の隣は当然入れない。
いつもと同じ席の方が精神的にも安心する。
そう言い聞かせて手をダランと下げた。
後ろへトボトボと歩けば、ジャージを優しく引っ張られ振り返る。
「Aちゃん、こっちおいでよ。」
「吹雪君…っと鬼道君
…ありがとう。じゃあ座る。」
言葉を紡げば吹雪君はニコリと笑っては席をトントンと叩いていた。
内心助かったと安堵した。
試合前に目立った行動は絶対にしてはならない。
チラッと後ろを見れば壁山君は目を潤ませており、表情から助けを求めていた。
…次は絶対1番にバスに乗らなければ。
壁山君に申し訳ない事をした。
どうやら私が座るのを運転手の方は待っていたようで、シートベルトをカチッと付ければ勢い良く発進し始めた。
「Aちゃんを隣にしようって言うのは鬼道君の策なんだよ。」
「すまないA。
不動となるべく一緒にはしたくなくてな…」
2人の言葉、主に鬼道君の言葉に疑問の念を抱いた。
いつもの席が無い私を気遣ってくれたのかと思いきや、突然の指名に話が唐突に止まる。
「…なんで不動君？」
思った事を口に出した。
そうすればすぐに2人は目を丸くし、驚嘆の声をあげた。
「あんな事があったからだA。
もしかして覚えていないのか？」
「Aちゃんが怪我してた時に不動君が無視したって…」
頭にクエスチョンマークが幾つも浮かび上がってきた。
むしろ逆だ。
私が助けてもらえなければもっと状態が悪化していたかもしれないのに。
「そんな事は＿」
言葉を言い欠ければ最後。
キーッと高い音を奏でた急ブレーキが言葉を遮り、全員の体制を崩した。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
