82 虚偽を否定した怒り ページ38
「俺、雷門中サッカー部、円堂守です。」
ギョッとした、思わず目が飛び出てくるのかと。
彼の飛び出した姿に瞳孔が震える。
私も行かなければ…
いや。円堂君の用事に口を挟む訳には＿
「A、来いよ。
、俺の仲間でチームメイトです。」
突然の手招きで円堂君の隣に立つことを余儀なくされる。速歩きで進めば先生は目を細め、小さく会釈をされた。
「お願いします！」
隣で風を感じたと思えば、円堂君が深く頭を下げていた。先生の会釈と比べ物にならない程深く、彼の言葉には重みがあった。
「え、円堂君！」
彼の行動に違和感が付き纏い、今限界を迎えて声を荒げた。
苦しそうな表情も、今の辛さを抱えた行動も。今まで見てきた円堂君とは別人だった。
その言動は、彼の口から出た言葉に肯定された。
「豪炎寺からサッカーを取り上げないで下さい。」
頭が鈍器で殴られる。
ヒュッと小さな息を吸うので精一杯だった。
「う、嘘だ！」
そう口走ってすぐに後悔した。
円堂君の決意を固めた行動が嘘の訳ないじゃないか、考えが巡る事が遅かった。
私の言葉に円堂君は全く動じなかった。
その位彼は先生に強く懇願しており、彼は豪炎寺君ともっとサッカーがしたいのだと思った。
「＿先生、私からも。お願いします。」
腰から勢い良く頭を下げた。
円堂君が隣で私の名前を呟いた。
豪炎寺君とまだ深く話した事は無い。
それでも、イナズマジャパンには豪炎寺君が必要という事位私にだって分かる。
私だって、豪炎寺君ともっとサッカーがしたい。
「アイツは、サッカーが好きなんです。
好きで、好きで、大好きで。
でも夕香ちゃんの事に責任を感じて。
自分からサッカーを辞めて。」
サッカーを辞めて。
頭を上げそうになったのを必死に堪える。
その言葉に心臓がドクドク不規則に動き出す。
豪炎寺君にも私と同じような期間が＿
「今、やっと好きなサッカーが出来るようになったんです！
＿お願いします」
私は豪炎寺君について何も知らないのだと思い知らされた。
豪炎寺君は＿
私よりずっとずっと苦悩を乗り越えて来て。
ずっとずっとサッカーを愛していたんだ。
「豪炎寺から、サッカーをッ取り上げないで下さい！」
長いようで短い沈黙が黙々と流れる。
先生の白衣が右頬を少し撫でた。
「急いでいるので、失礼する。」
何で、聞いてくれないんだ。
うっかり出た円堂君の小さな嘆きを聞き逃さなかった。
酷く怒りが頭の天辺にまで上った。
「＿ッ先生！」
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
