81 夕日が映える ページ37
「え、円堂君。どうしたの？」
「Aは病院で豪炎寺のお父さんと会ってるか？」
「、うん。お世話になったよ。」
「そっか…」
見た事のない厳しい表情に声が詰まる。
どうして円堂君が先生の事をと思ったが、稲妻町に住んでいるなら知っていてもおかしくないなと即座に解決した。
彼は固く口を結んだ後、小さく息を付いた。
「A、今から一緒に病院に来てくれないか。」
彼の言葉に目を丸くして一歩後ずさった。
オマケにこの表情。脳裏に嫌な考えがよぎる。
口に手を添えれば泥が乾き切ってしまったようでザラッとした感触を感じた。
「まさか、怪我を＿」
「ち、違う違う！怪我なんてしてない！」
頭を左右に強く振って否定してくれた事に酷く安堵した。
いつもの柔らかく大きく弧を描いた笑顔に胸を撫で下ろした。
「その…うーん。
と、とにかく！ジャージに着替えて行こう！
校門で待ってるからなー！」
「え、円堂君…」
颯爽と校舎に戻った円堂君に行き場のない手だけが残った。
豪炎寺君の姿を探せば、まだ1人泥の中で練習していた。
稲妻町総合病院。
もう二度と来たくない場所。
始めて友だちが出来た場所。
監督と鬼道君に思いを打ち明けた場所。
嫌でも、ここには感謝しなければならない。
ここに来るまで円堂君とは一度も大した会話を交えなかった。
こちらから話し掛けようと口を開ければ、彼の上がった眉に口を閉じた。
「A、入るぞ。」
円堂君の声にただただ強く頷くしかなかった。
＿
階段を4回登る。
2階、通路に出てからキョロキョロと辺りを見回せば、目的の人物を見つけた。
「円堂君。先生が…」
そういえば彼は上げていた右足を下げ、丸々とした目をこちらに向ける。
分かった。そう彼が言えば、力強く拳を作り、迷い一つなく先生の元に歩んでいた。
少し先生への気まづさを感じながらも、円堂君と距離を作りながらもノソノソと着いて行った。
窓から夕日が差し込む。
先生がこちらを向けば、眼鏡がギラッと照らされるのを私は見逃さなかった。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
