79 人一倍の勇気 ページ35
「皆さーん！決勝の相手が決まりましたよ！」
メガネ君の声に視線を右に向ける。
確かサウジアラビアと韓国のはず。
韓国は優勝候補。ならサウジアラビアに当たりたい。
「皆さんはどちらだと思いますか。」
「もうじれってぇな！どっちでも良いからさっさと言えよ！」
眼鏡を輝かせた問いは先輩には届かず、早く知りたいと淡々と詰め寄られていた。
「か、韓国です。
しかも、4対0の完勝です。」
流石優勝候補。当たり前のようにのし上がって来た。
みんなの表情は曇らず、むしろ戦いたいと晴れた表情で喜んでいた。
私はオーストラリア戦はあんなにも優勝候補と当たるのを嫌がっていた。
なのに今はこうも胸が高まる。
その位世界中の人に監督の技を見せたいのだと思う。
「みんな、早速必殺技の特訓だ！」
「その必要はない。」
この状況を何処かで見たことがある。
オーストラリア戦の…
「…もしかしてまた練習禁止なんじゃ…」
「さ、流石にそれは無いですよ。」
本気で頭をよぎった言葉も、立向居君に冗談だと思われサラッと流された。
外に出ればグラウンドに何か大きな窪みがあるのが見えた。
あんなの無かったよなと自己解決すれば監督に早くしろと全員が急かされた。
「決勝戦までの3日間はここで練習してもらう。」
「これは…泥でやんす。」
栗松君が指を突っ込めば指にしっかり纏わりつく程の泥が大量にあった。
昨日までこんなものは無かった。
いつの間に…
「どういうことですか、こんな泥の中で練習なんて。」
「それより、必殺技の特訓をすべきじゃないですか。」
「でも監督＿」
「お前達は言われた通りにしていれば良い。」
鬼道君達の説得も虚しく、監督は表情1つ変えなかった。
どうしてもオーストラリア戦を繰り返し見ているようだった。
いくら何でも泥なんかで練習出来ない。当然、こんな所でプレーをしたことが無い。
足をフラフラと動かしては戻してを繰り返す。
…誰かが始めなければ踏み入る勇気が出ない。
監督の言葉だ、入らなければいけないとは分かっている。
それでも＿目を細めればポチャと音がして顔を上げた。
「…豪炎寺君。」
今までの態度、そして今の行動。
間違いない、恐らく豪炎寺君は韓国戦への思いが人一倍大きい。
そこまで深くない。靴が覆われる位だ。
豪炎寺君に続き、円堂君もこちらに泥がかかる程の勢いで泥に飛び込んだ。
「俺達も行くぞ！」
鬼道君の声に折れて泥にソロソロと足を踏み入れた。
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ビジュ(プロフ) - ほうじ茶さん» コメントありがとうございます！不定期更新となってしまいますが、ほうじ茶さんのご期待に応えるためにも少しずつ更新していけるように頑張りたいです(◍•ᴗ•◍) (2月29日 23時) (
レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - めっちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (2月29日 20時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビジュ | 作成日時：2024年1月15日 23時
